国内第3のプラットフォーム市場、2021年は8.4%増の19兆5428億円–IDC予測

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 IDC Japanは1月17日、国内における第3のプラットフォーム市場について、2021~2025年の成長予測を発表。2021年の市場規模は支出額に基づいて前年比8.4%増の19兆5428億円とした。第3のプラットフォームとは、米IDCが提唱したもので「クラウド」「モビリティ」「ビッグデータ」「ソーシャル」によって構成される技術基盤を指す。

 調査によると、2020年は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が多くの企業の財務環境に大きな負の影響を与え、設備投資を含む事業運営上の支出を抑制させる方向で作用したという。2021年はレジリエンシー(回復力/柔軟性、変化への対応力)の強化に向けてデジタル変革(DX)に投資する企業が増え、2022年以降もこの流れが継続する見通し。2025年の支出額は23兆5928億円と予測、2020~2025年の年平均成長率(CAGR)を5.5%と見込む。

 IDCでは、国内第3のプラットフォーム市場を、企業分野、非企業分野(中央官庁、地方自治体、教育)、消費者分野に分類。2020年は非企業分野のうち中央官庁/地方自治体の支出が相対的に目立ったと分析。2021年以降は企業分野が市場をけん引し、企業分野の2020~2025年のCAGRは8.5%になるという。

 非企業分野については、教育でGIGAスクール構想の取り組みや情報通信技術の活用に向けたインフラ/ソフトウェアの整備が進み、中央官庁/地方自治体においては在宅勤務の環境整備、マイナンバーカードの利用促進、デジタル庁創設による国内行政のデジタル化やガバメントクラウドの推進によって、2022年以降も堅調なテクノロジー支出の拡大が期待される。

 消費者については、COVID-19の拡大に伴って、テレワークやオンラインを活用したさまざまなサービスを受けるためのツールとしてPCの需要が増大したことから、それに伴うセキュリティ対策やクラウドベースのファイル共有ツールなどへの支出が進んでおり、2021年の前年比成長率は3.8%、2020~2025年のCAGRは1.5%と予測する。

 産業分野別では、2021年単年の前年比成長率が最も高くなる産業分野は、組立製造、プロセス製造、情報サービスと分析する。

 製造業は、2021年は海外経済の復調に伴う需要にけん引される形で業績改善が他の産業分野に先行し、レジリエンシー強化を目的としたDX投資を中心に第3のプラットフォームへの支出が拡大。情報サービス業においては、クラウド活用、データ分析などに対する積極的な支出を見込んでいる。

 小売については、「本来第3のプラットフォームに対する投資が盛んである」といい、財務的な体力がある大手を中心に積極的な投資が行われ、2021年の成長率は他分野と比べて高くなると予測する。

 運輸は2020年にCOVID-19感染拡大による負の影響を強く受けた。2021年も前年比成長率が他分野に比べて低くなると見込まれる。だが、2022年以降は貨物運送業や旅客運送業においても効率的な運行管理などのユースケースに対する投資が活発になり、加えて宅配事業者の好調な業績を背景にDXへの取り組みは加速し、他の産業分野と比較して高い成長率になると予測する。

 個人向けサービスも、2021年は他の産業分野と比較して「抑制的な投資状況」となる。2022~2023年にかけては、消費者の需要の回復に伴って業績回復の道筋が整うことで、パーソナル化された顧客エンゲージメント施策や、オムニチャネルコマースプラットフォーム構築に向けた投資が活発化すると予測している。

 IDC Japan ITスペンディングのリサーチマネージャーの敷田康氏は、ITサプライヤーが長期的な事業成長を志向する上で「OT(制御技術)領域など、従来型のIT製品/サービスの枠を超えた事業機会を探り、それらの領域に強みを持つさまざまな業界専門のソリューションベンダーとのアライアンスや、M&A(合併と買収)を含めた事業拡大策を検討すべきである」と話す。

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