NECソリューションイノベータ、“スマートSI”で事業の高度化を推進

今回は「NECソリューションイノベータ、“スマートSI”で事業の高度化を推進」についてご紹介します。

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本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。


 NECソリューションイノベータ(NES)がシステムインテグレーション(SI)事業の高度化を加速させている。生産性を2倍に向上させ、2025年度に営業利益率を2021年度から5ポイント引き上げるためだ。代表取締役社長の杉山清氏はその実現策として、「ツールを整備したり、リモートワークを導入したりして、システムエンジニアリング(SE)の作業をデジタル化する」という仮想空間プロジェクトなど“スマートSI”を披露する。従業員1万3000人弱、パートナー約1万2000人の合計約2万5000人体制でSIを展開する、同社の取り組みを追う。

 SI事業の高度化で中心を成すのが、スマートSIと呼ぶ開発スタイルの変革だろう。1つ目は、経験豊富なIT技術者が遠隔から現場の若手技術者らとシステム保守作業の画面を共有し、作業を支援するもの。スマートグラスをかけた現場の技術者に遠隔からベテラン技術者がハードウェアの保守作業を指示するNECフィールディングの作業モデルを見た杉山社長らが「SIの現場に応用できる」と考え、開発を指示したのが発端だという。

 人材不足の解決策で、ユーザー自身による保守も視野にあるようだ。NESの技術者が現場にいなくても、ユーザーの技術者らに遠隔から保守作業を指示する形態だ。自治体と医療を中心に活用し、サービスメニュー化もいずれ検討する。「そんな世界も考えられる」と杉山氏は意気込む。

 2つ目は、仮想空間プロジェクトになる。仮想空間にオフィスを作り、プロジェクト関係者が集まってホワイトボードなどを使って議論したり、資料を共有したりする。2019年の構想段階を経て、2020年にプロトタイプを開発し、適用する試験プロジェクトを募った。その間に、新型コロナウイルス感染症が拡大した。

 「ビデオ会議システムだけでは限界がある」(杉山氏)とし、アジャイル開発をはじめとする約10件のプロジェクトに適用するなど徐々に広げてきた。社内からは「上司が在籍中と分かったら、『この件はこれでいいですか』などと気軽に相談できる」と評価する声もあるという。

 3つ目は、テスト工程にロボティクスプロセスオートメーション(RPA)を組み込んだり、運用業務にデジタル技術を取り入れたりして「手作業を自動化する」(杉山氏)こと。当初、上流工程の効率化を検討し、NEC中央研究所に要件定義のデジタル化を依頼したが、難しいことが分かった。その一方で、SIの中で作業比重の高いテスト工程のデジタル化が可能となり、NES自身で開発に着手した。

 スマートグラスの活用など働き方を変えることで、運用やテストを魅力ある業務にする。「若手や新人に運用を担当させると辞めることがある」と杉山氏は打ち明ける。決められたことをミスのないよう淡々とこなす、そういった仕事に嫌気を指すこともあるのかもしれない。その解決にもつながる。

 生産性向上の施策は他にもある。例えば、NECグループのコンサルティング会社、アビームコンサルティングとの連携によって、SAPユーザーのバージョンアップ需要を取り込む。杉山氏は「(HANAへの)待機ユーザーが約2000社あり、旺盛な需要がある」といい、2021年7月にSAPソリューション事業部を設置、パートナーを含めて300人近くを配置する。SEの作業単価は高く、2027年まで需要は続くと読んでいる。新規ユーザーの獲得で、フロント系などデジタル変革(DX)の需要の取り込みも期待する。

 オフショアも生産性に寄与する。NECは約20年前に海外現地法人を通じて中国に開発委託を増やしたものの、その後、積極的に使わなくなってしまったという。そこで、NES主導で立て直すことにした。人材不足は明らかなので、ベトナムやインドなどに、人工知能(AI)などの先端部分の開発や仮想空間を活用するアジャイル開発プロジェクトに参画させるなどし、外注費の海外比率を現在の6~7%(約80億円)から早期に20%にする。

 同社のこれら施策は、国内パートナーの受託ソフト会社にも大きく影響を及ぼすだけに、その推進と進展に注目する。

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