ウクライナ攻撃に新たな破壊型マルウェア、軍事侵攻に合わせて実行か

今回は「ウクライナ攻撃に新たな破壊型マルウェア、軍事侵攻に合わせて実行か」についてご紹介します。

関連ワード (セキュリティ等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。

本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。


 スロバキアのセキュリティ企業のESETは現地時間3月1日、ウクライナ政府機関などを狙う新たな破壊型マルウェア「IsaacWiper」と、先に発見した「HermeticWiper」の解析状況について報告した。事前に周到な準備がなされた可能性があると指摘している。

 同社は、2月24日にWindowsマシンのマスターブートレコードを破壊してコンピューターを起動不能にするHermeticWiperの存在を報告。その後の解析でHermeticWiperは、目的を達成した後にディスク上にある自身のデータをランダムなバイトで上書きすることが判明した。

 さらに、「HermeticRansom」というランサムウェアがおとりとして用意され、これもHermeticWiperが存在した痕跡を隠すために使われていた。攻撃者がコンピューターにHermeticWiperが存在した痕跡を無くすことで、調査を妨害する狙いがあると見られている。

 また、HermeticWiperが「HermeticWizard」という独自開発されたワーム(ITシステム環境内で無尽蔵に拡散する不正プログラム)を利用して、侵入先の内部ネットワークに広がることも分かった。

 HermeticWiperには「Hermetica Digital」という企業の名称で有効なデジタルコード署名が付与され、正規アプリケーションのように見せかけていた。ESETによると、Hermetica Digitalはキプロスに登記されている企業で、デジタルコード署名がこの企業から盗み出されたものではないという。

 署名はDigiCertから2021年4月13日に発行されていた。HermeticWiperがコンパイルされたのは、少なくとも2021年12月28日と見られている。攻撃者は、ウクライナ関連機関にマルウェア攻撃を仕掛けるため、Hermetica Digitalという実態のない会社を作り、2021年4月の時点でDigiCertにデジタルコード署名を発行させた可能性があるという。ESETはDigiCertに、デジタルコード署名を直ちに無効化するよう要請した。

 こうした事実から同社で脅威調査の責任者を務めるJean-Ian Boutin氏は、攻撃者が事前に標的とする組織のActiveDirectoryのサーバーに侵入して、さまざまな情報を把握していた様子がうかがえると指摘している。

 一方のIsaacWiperは、HermeticWipeによる攻撃翌日の2月24日に、ウクライナ政府のネットワークに対して攻撃を行い、同25日には新バージョンのIsaacWiperが投入された。同社の分析では、当初のIsaacWiperでは一部のコンピューターを起動不能にさせることができなかったため、攻撃者が迅速にプログラムを修正した可能性があるという。

 攻撃者は、IsaacWiperを拡散させるためにリモートアクセスツールの「RemCom」を使用しているほか、システムへの侵入検査などに使われるセキュリティツールの「Impacket」を悪用することも分かった。なお、IsaacWiperがコンパイルされたのは、少なくとも2021年10月19日だったとしている。

 ESETは、ウクライナ政府機関を標的にする一連の破壊型マルウェアの攻撃者は特定できていないとしつつ、「HermeticWiperが複数のウクライナ組織を標的にしており、ロシアがウクライナに侵攻を開始する数時間前に実行された」と指摘している。

COMMENTS


Recommended

TITLE
CATEGORY
DATE
アンソニー・ボーディン氏の最新ドキュメンタリー「Roadrunner」にはディープフェイク音声が使われている
人工知能・AI
2021-07-17 10:13
中国TCL、カラー対応の反射型液晶ディスプレイ搭載タブレット発表 動作は電子ペーパーより滑らかで省電力
製品動向
2021-01-14 01:51
MODE、IoTデータ活用を促進する生成「BizStack Assistant」を発表
IT関連
2024-04-27 23:54
MS、コラボレーションアプリ「Loop」のパブリックプレビューを公開
IT関連
2023-03-25 11:25
Nintendo Switchに新モデル、有機EL搭載で有線LANに対応 3万7980円で10月8日発売
ライフ
2021-07-07 21:57
複業マッチングプラットフォーム「Another works」が1.6億円調達、AI技術活用しプロダクトの機能拡充
HRテック
2021-04-17 12:18
PR TIMESが会員企業の発表前情報に対する不正アクセス公表
セキュリティ
2021-07-10 05:55
経理担当者、65%がインボイス制度への対応に不安–Sansan調査
IT関連
2022-09-23 00:20
IBMのインフラサービス新会社は「Kyndryl」(キンドリル)
企業・業界動向
2021-04-14 11:38
Istio、Cloud Native Computing Foundationの正式なプロジェクトとして採択されたと発表。これでクラウドネイティブの基盤ソフトウェアはほぼ全てCNCF傘下に
Istio
2022-09-29 13:59
建ロボテックが鉄筋結束作業を行う「全自動鉄筋結束トモロボ」を開発、年内量産開始を目指す
ロボティクス
2021-07-13 16:55
トヨタが圧倒的に信頼性が高いApex.AIの自動運転ソフトウェア開発キットの使用を発表
モビリティ
2021-04-16 19:17
[速報]マイクロソフト、ArmネイティブなVSCode、.NET、WSLなど投入へ。Python、Node.jsなどのArm対応も進行中。Microsoft Build 2022
.NET
2022-05-25 07:47
中央省庁の情報をまとめた政府統一Webサイト、4月にβ版公開へ
企業・業界動向
2021-03-06 18:29