第3世代iPhone SE、ついに5G対応もミリ波がない理由―iPhone 14シリーズ、日本でミリ波対応はありえるのか

今回は「第3世代iPhone SE、ついに5G対応もミリ波がない理由―iPhone 14シリーズ、日本でミリ波対応はありえるのか」についてご紹介します。

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本記事は、TechCrunch様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。


5G対応のiPhone SE(第3世代)が、3月18日に発売となる。日本ではNTTドコモ、au、ソフトバンク、楽天モバイルが取り扱うが、今回はUQモバイルやワイモバイルといったサブブランドも同時に発売する。

・速報:新 iPhone SE (第三世代)発表。初の5G対応・A15で高速化・バッテリー駆動時間延長

各キャリアとって、5G対応のiPhone SE(第3世代)は待望といえるだろう。5Gにおいては日本は世界から普及が遅れていると指摘されている。

2020年3月に3キャリアで5Gが始まったものの、これまで特に盛り上がることなく2年が経過してしまった。5Gエリアは、4G周波数帯を転用することで、広がりを見せている。しかし、5G対応スマートフォンが爆発的に売れることもなく、地味に普及している状態に過ぎない。

菅政権の圧力により、料金値下げが注目され、オンライン専用プランなど小・中容量プランが世間の注目を浴びた。キャリアとしては5Gスマートフォンに乗り換えてもらい、データをバカスカ使ってもらうことで、ARPUをあげ、さらに使い放題プランへの乗り換えを促したいというのが本音だ。

KDDI高橋誠社長は「5Gスマートフォンユーザーは4Gスマートフォンユーザーより2.5倍もデータトラフィックが多い」と語る。

iPhone SE(第3世代)が普及すれば、それだけデータ通信を多く使うユーザーが増え、結果として、キャリアの通信料収入の回復が見込まれるのだ。

今回のiPhone SE(第3世代)、5G対応と言ってもSub-6のみの対応となる。アメリカではiPhone 12シリーズ、さらにはiPhone 13シリーズはミリ波に対応していた。ベライゾンなどがミリ波の展開に積極的であったため、アップルとしてもiPhoneでミリ波の対応を余儀なくされたようだ。一方で日本で売られているiPhone 12シリーズやiPhone 13シリーズはSub-6のみの対応だ。

アメリカで売られるiPhone SE(第3世代)もSub-6のみであり、ミリ波には非対応だ。

画面サイズが4.7インチと筐体がコンパクトなiPhone SE(第3世代)であるため、ミリ波のアンテナなどが入れずらかったのかも知れない。また、本体が小さく手で全体を覆いやすくなりがちのため、ミリ波は受信しづらくなる可能性もある。

「なぜ、アップルはiPhone 12と13ではミリ波に対応したのにiPhone SE(第3世代)ではミリ波対応を見送ったのか」が気になって、取材を進めたところ、どうやら「アメリカでも4G周波数の転用が進んでいたり、Cバンド(3.7G~4.2GHz帯)の導入が見えてきたから」というのが理由にあるようだ。

ベライゾンは5Gスタート時には、ミリ波を中心にエリア展開を行っていた。しかし、その場合、5Gに期待される通信速度は出るものの、エリア展開の広がりは期待できない。そこで、ベライゾンではDSS(Dynamic Spectrum Sharing)という技術を投入し、4G周波数帯に5Gを混ぜるかたちでサービスを提供し、エリアを広げた。ミリ波の5Gほど通信速度は出なく、むしろ4Gよりも遅くなる傾向があるのだが、それでもエリアを広げたいという狙いがあった。

さらに昨年末から今年頭にかけて、一部報道で、アメリカのCバンド(3.7G~4.2GHz帯)が話題となった。

ベライゾンとAT&Tが共同でCバンド周波数の競売に共同で809億米ドルを出資。Cバンドによるサービスを開始しようとしたら、米国連邦航空局に警告を受けて、サービス開始時期の延期をせざるを得なくなったというものだ。Cバンドが民間航空会社の用いる高度計と干渉し、航空機運航に影響を及ぼす可能性を指摘されたのだ。

今後、Cバンドが本格運用できれば、そこそこ高速でありながら広いエリアで5Gサービスの提供が可能となる。

こうした背景からアップルとしてはiPhone SE(第3世代)で無理してミリ波に対応しなくてもいいという判断が下ったようだ。

ただ、先日、スペイン・バルセロナで行われたMWC22では、クアルコムのプレスカンファフェンスで「5G mmWave Accelerator Initiative」が紹介され、そこにはNTTドコモやVerizonの名前があった。世界的にミリ波の活用を盛り上げていこうというわけだ。

NTTドコモでは4Gユーザーが多く、4G周波数を5Gに転用するのが難しい。そのため、4G周波数帯の転用には消極的で、5G用に割り当てられた周波数帯でのサービス提供を重視している。また、楽天モバイルの三木谷浩史会長は「ミリ波は(日本で)うちだけががんばっているが、海外でミリ波を使っている人は本当にデータの使用量が多い」と語る。楽天モバイルのように従量制の料金プランを提供しているところは、一刻も早く5G、しかもミリ波で提供することでARPUをあげて収益を確保したいというのが本心だったりする。

メーカーとしてはミリ波対応といった面倒くさいことはせず、Sub-6だけで5G対応をしておきたい。一方で、キャリアとしてはミリ波対応であれば(ミリ波の基地局を設置しなくてはいけないが)ARPUの上昇が期待できる。

今秋、発表されるであろうiPhone 14シリーズは、日本でもミリ波対応はあり得るのか。アップルとキャリアの間で駆け引きが行われているかも知れない。

(石川温。Engadget日本版より転載)

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