AIチップのGraphcoreが披露した3Dプロセッサー–"ウルトラインテリジェンス"マシンへの展望も
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2つのダイを積み重ねたGraphcoreの新チップは、「EfficientNet」といった機械学習(ML)タスクのパフォーマンスを40%向上させられるという。
6年前に創業され、英国のブリストルに拠点を置く人工知能(AI)チップ/システムメーカーのGraphcoreは現地時間3月3日、半導体でできた2つのダイを積み重ねた「Bow」という新チップを発表した。このチップは、電力消費を低減しつつ、ディープラーニングの訓練といったアプリケーションを40%高速化できるという。
またGraphcoreは、同社のマルチプロセッサーコンピューター「IPU-POD」の強化モデルとして、Bowチップを搭載した製品も発表した。この新モデルは、NVIDIAの同レンジ製品である「DGX」マシンの半額でありながら、5倍高速になっているという。
「Megatron-Turing Natural Language Generation」(MT-NLG)といったディープラーニング向けニューラルネットワークモデルのサイズが拡大してきている状況を受け、同社は「Good」コンピューターと名付けたコンピューター設計に取り組んでいると述べている。これは、500兆ものパラメーターを有するニューラルネットワークモデルを扱うことができ、同社が「ウルトラインテリジェンス」と称する超人的な能力を実現するとされている。
Bowプロセッサーは、Graphcoreが「IPU」(Intelligence Processing Unit)と呼ぶものの最新版だ。同社はこれまでにIPUを2度リリースしており、最後のリリースは2020年後半だった。
Graphcoreの共同創業者であり、最高技術責任者(CTO)でもあるSimon Knowles氏が報道陣向け説明会で述べたところによると、ロンドンのボー(Bow)地区にちなんで名付けられたBowは、「シリコンの垂直統合、すなわちシリコンのダイを互いに積み重ねるという、われわれの戦略的な方針に向けた最初のステップ」だという。
Bowは、同社の競合であるCerebras Systemsが開発した「Wafer Scale Engine」(WSE:ウエハー規模のエンジン)と同様、従来型のマイクロプロセッサー製造プロセスの先を行く斬新な製造技術を採用している。
Bowは、2つのダイを積み重ねる「ウエハーオンウエハー」という製造技術が用いられた初のチップだ。Knowles氏が同説明会で述べたところによると、この技術は台湾の大手チップ製造企業であるTSMCとの「緊密な協力関係」の下で開発されたという。
同チップはAI計算で用いられる混合精度の浮動小数点演算を350テラFLOPSで実行できると述べた同氏は、「今日における世界最高のパフォーマンスを誇るAIプロセッサー」だと続けた。