「基幹系とDX系のスキル二刀流は強い」–日本IBMデジタルサービスの井上社長

今回は「「基幹系とDX系のスキル二刀流は強い」–日本IBMデジタルサービスの井上社長」についてご紹介します。

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本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。


 日本IBMグループの中で、システムの開発から運用まで手掛けるシステムインテグレーター(SIer)の日本IBMデジタルサービス(IJDS)がデジタルを活用した地域課題の解決に力を入れ始めている。その一環として、地元の企業と大学、IT企業などと組んで、地域の課題解決と活性化を推進する。地域で働きたいIT人材の獲得と育成にも取り組む。それらを担う地域DXセンターの今後の展開などについて、同社 代表取締役社長の井上裕美氏に聞いた。

 IJDSが設立されたのは2020年7月。金融系と製造系に特化したシステム子会社2社とアウトソーシング関係の子会社1社を統合する形でスタートした。日本IBM 代表取締役社長の山口明夫氏がコロナ禍前から構想を立てていたことだという。

 「いままでつながっていなかった業界と業界がつながり、新しいイノベーションを起こすような世界が広がる。経済産業省が『2025年の崖』と指摘するようにデジタル変革(DX)を成し遂げなければ、基幹系システムがブラックボックス化し、その保守に多くの人が割かれてしまう。さらに人口減少や高齢化が進み、後継者も少なくなる。そこで、業界に特化した人材・知見を横断的に提供する会社としてIJDSを立ち上げた。基幹系をしっかり守りながら、刷新と変革を進めていく」(井上氏)

 IJDSは2022年1月、これまで開発拠点として活用してきたイノベーション開発センターを、協力会社やユーザーと共創する地域DXセンターに衣替えし、地域人員の増強を始めた。札幌を皮切りに、仙台、九州、沖縄などに地域DXセンターを設置し、2024年までに協力会社と合わせて2500人規模の陣容を整える。

 「各地域の人員体制は公表していないが、IJDSの従業員数は数千人になる。例えば、10の作業があれば、当社の従業員が6、地元企業が4といった割合で稼働する。北海道では札幌を中心に1000人近くが働いている。札幌の拠点は2014年の開設から数倍規模に拡大し、テクノロジーを活用した共創の場を顧客企業や協力企業と作り上げてきた。そうした札幌での展開を仙台、九州、沖縄にも広げていく」(井上氏)

 具体例の一つがワークショップの開催になる。これは、IJDSの従業員や地元企業らが集まって課題の発見・解決や地域活性化を目指すものだ。北海道情報大学との共創プログラム「地域共創DXワークショップ」は、北海道の地域創生に産学連携で取り組む新しい試みで、住民視点の課題が数多く出てきたという。

 こうした取り組みを加速させていくためにも、地域のIT人材が必要になる。地域DXセンターの目的の一つは人材育成にある。「特に開発者は間違いなく必要になる。首都圏の人材リソースにも限界があるので、地域の人材をもっと増やしたい。地元や地方に活動拠点を移したり、ワーケーションを取り入れたりしたい人が増えている。IJDSはそういう人たちを応援する。今なら都心部から離れても、リモート環境で何も変わらず仕事を続けられる。また、地方にはDXを担う人材が眠っている。例えば、夫の転勤で会社を辞めざるを得なかった妻たちにプログラミングなどのスキル習得を無償で支援し、再就職につながれば、地域の活性化になる」(井上氏)

 国内のメインフレーム市場が縮小する中、IJDSではシステム開発の需要は増えており、人材不足が顕著だという。そこで、基幹系システムの開発を担ってきたCOBOLエンジニアなどに、DXに必要なスキルの習得を促す。基幹系の領域を守りながら、DXの領域にも展開するためだ。

 「基幹系とDX系を担える二刀流は強い。IBMは教育への投資も強化しており、クラウドや人工知能(AI)をはじめ、新しいサービスや開発言語などのスキルを、いつでもどこでも学べるプラットフォームがある。学びも高速化している時代だ」(井上氏)

 39歳でIJDSの社長に就任した井上氏は今、同社のこうした取り組みを地域企業や大学、高等専門学校などの教育機関に紹介するため、全国各地を飛び回っている。地域との関係を強固にする狙いもある。国産大手が地域との関係を見直す中で、地域の人材育成と活性化に向けた同社の取り組みに協力会社らも注目する。

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