アプリケーションの刷新目的、日本はコスト削減ばかり–ガートナー調査
今回は「アプリケーションの刷新目的、日本はコスト削減ばかり–ガートナー調査」についてご紹介します。
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ガートナージャパンは4月7日、「日本企業のアプリケーションの近代化に関する調査」の結果を発表した。それによれば、日本企業がアプリケーションを近代化(刷新)する目的は、コスト削減に関するものばかりだった。
アプリケーションの近代化とは、古い技術や仕組みで開発、構築、運用されているアプリケーション(レガシーアプリケーション)を最新の技術や仕組みで刷新することにより、現在および将来の事業環境に対応を図ったり、非効率性や複雑性、コストなどを削減したりする概念。近年の企業は、ITを活用して既存の事業構造を改革したり、新規事業を創出したりする「デジタルトランスフォーメーション」(DX)の取り組みを進めており、アプリケーションの近代化はDXの一環とも位置付けられる。
ガートナーが2021年11月に実施した業務アプリケーションの近代化に関するユーザー調査によると、ユーザーが最も期待していることは、「稼働環境/インフラ・コストの削減」の47.9%だった。これに「業務コストの削減」(44.0%)や「アプリケーション保守コストの削減」(41.2%)が並び、いずれもコスト削減に関するものだった。
レガシーアプリケーションは、長期に渡る利用の間に機能追加や改修などが繰り返されることで構造や操作方法などが複雑化するケースがある。その結果、経営や事業を取り巻く環境が変化した時にアプリケーションをその変化に対応させていくことが難しくなり、コストなどが増えるばかりになることが多い。ガートナーの調査では、アプリケーションの近代化が必要になった理由の最多は、アプリケーションの複雑性の解消だったという。
ガートナーのアナリストでシニア ディレクターを務める飯島公彦氏は、コロナ禍や自然災害、世界情勢などを背景に、企業はDXを推進し、アプリケーションの近代化を通じて事業を成長させていく必要があるものの、現状でアプリケーションの近代化は、もっぱら既存コストの削減手段と見なされ、事業の成長手段としての視点が欠けていると指摘する。
さらには、アプリケーションの近代化が事業構造や業務の大きな変化に対応するためであるにもかかわらず、日本企業は現状維持を前提として進めていて、アプリケーションが根本的に目指すべき姿を事業視点で見直さず、本来必要なアーキテクチャーの変革を行わないあるいは不十分なものにしていると警鐘を鳴らす。
アプリケーションの近代化は、まず膨大なレガシーアプリケーションの負の部分を解消しなければならず、取り組み出しても途中で頓挫してしまう恐れもある。放置すれば、デメリットばかりが膨らむ。その取り組みは長期的かつ続いていくものであるといい、企業には刷新されたアプリケーションによって事業を成長できるよう最適なアーキテクチャーによるアプリケーションの構築を必要な部分から段階的に進めることを直ちに開始すべきだという。
さらに取り組みを着実に進めるためには、アプリケーションの近代化を実現して刷新されたアプリケーションを活用できる人材を増やすことも必要になるとする。アプリケーションの近代化によって期待する収益の増加や顧客満足度の向上、従業員の生産性や業務に対する満足度の改善などコスト削減以外の目的も明確にし、プリケーションの近代化を推進する意識と行動が肝心だとしている。