通信やメディア企業にクラウド/5Gを訴求するマイクロソフト
今回は「通信やメディア企業にクラウド/5Gを訴求するマイクロソフト」についてご紹介します。
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本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。
日本マイクロソフトは4月13日、通信・メディア業界への支援施策を解説する記者説明会を開催した。2020年9月に発表した通信事業者支援ソリューションの「Azure for Operators」を中核に、業界の収益向上を支援するという。
その一環として同社は、ソフトバンクと共に第5世代移動体通信システム(5G)のビジネス創出に向けたプロジェクトを発足させことも明らかにした。詳細は後日発表する予定で、10社以上のスポンサー企業から賛同を得たという。業務執行役員 エンタープライズ事業本部 通信メディア営業統括本部長の石本尚史氏は、通信業界に対して「次世代キャリアの拡張性や信頼性、事業性を支援するためのパートナー」、メディア業界に対しては「ニューノーマル(新たな日常)下における新たなコンテンツの消費体験を共有するパートナーとして支援する。われわれがキャリアビジネスに参入することはない。あくまでも事業者を支援するパートナー」と強調した。
石本氏は、通信・メディア業界の現状について、これまでの消費者向けモバイルビジネスやテレビコマーシャルの伸び悩み、新規事業者の参入やサブスクリプション型ビジネスの浸透、設備投資による負担が課題だと指摘してきた。業界に対するビジネスモデルの変革をうながす活動として、リファレンスアーキテクチャーの提供や業界に精通するプレーヤーとの協業、世界中では2万社以上、国内は650社以上のスタートアップ企業支援を続けている。
その一環が5Gビジネス創出プロジェクトになる。ソフトバンクと共同で技術習得会やアイデア創出、ハッカソンを開催し、通信キャリアやローカル5G(自営型5G)事業者などによる5Gを活用した法人事業領域におけるビジネスの創出支援の強化を目指す。
国内でAzure for Operatorsは、さほどなじみ深くない。だが、通信メディア営業統括本部 インダストリーエグゼクティブの大友太一朗氏は「単なるインフラとしてMicrosoft Azureやネットワーク機能を提供するのではなく、通信キャリアが本当に求めているグレードの可用性やセキュリティを担保した開発・検証・実装環境」と主張する。
Microsoftは、2021年6月に米AT&Tが自社構築した「Network Cloud」を移管させ、後述する「Azure Operator Distributed Services」へと進化させた。2月に開催されたモバイル技術展示会の「MWC 2022」では、4つのAzure for Operator用ソリューションを発表している。
Azure Operator Distributed Servicesは、「もともとAT&Tが持つ技術にMicrosoftのクラウド運用やセキュリティ技術を加えて、大規模な運用監視やオーケストレーション、可用性の担保を実現する。オンプレミスを含めたマルチベンダー(で動作するサービス)の一元管理が可能」と大友氏は説明する。現時点では2023年から一般提供する予定だ。
「Azure Operator 5G Core」は、クラウド運用できる5Gネットワーク機能になる。「Unity Cloud Orchestrationと同種の技術を用いてオーケストレーションを簡素化し、将来にはAzure Marketplaceから機能を購入・展開するネットワーク構築環境」(同氏)を目指す。「Azure Private 5G Core」は、パブリックな5Gコアサービスで、「Metaswitchの製品をベースに小さなMicrosoft Azureが動作する『Azure Public MEC』内で実行できる」(同氏)ものだ。
Azure Public MEC(旧Azure Edge Zones with operator)は、「MEC環境をキャリアのデータセンター内に構築し、スマートシティーやパブリックインフラなど(の構築を目的とした)カバレッジを広げる」(同氏)という。Azure Private 5G Coreのみパブリックプレビューで、それ以外は招待制のプライベートプレビューとなっている。
またメディア業界に対しては、データ統合や分析、可視化に用いるソリューションや業務デジタル化、データ活用の技術習得会など多方面から支援を行う。既に宮城県のテレビ局は、数カ月におよぶ取材ロケ中に撮影した動画をその場で編集して放送局に送信しているとのこと。Microsoft Azure上で動作する「Avid | Edit On Demand」で動画編集し、そのまま自放送局や系列放送局、インターネットメディアへの配信といった多チャンネル展開に取り組んでいる。
大友氏は、撮影機材も簡素になり、「撮影映像をそのままMicrosoft Azureに格納するため、(編集作業は)PC一台で済む」と利点を強調した。