プロセスマイニング技術は日本企業のDXに大きなインパクトをもたらすか
今回は「プロセスマイニング技術は日本企業のDXに大きなインパクトをもたらすか」についてご紹介します。
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本連載「松岡功の『今週の明言』」では毎週、ICT業界のキーパーソンたちが記者会見やイベントなどで明言した言葉を幾つか取り上げ、その意味や背景などを解説している。
今回は、Celonis 代表取締役社長の村瀬将思氏と、日本HP 専務執行役員パーソナルシステムズ事業統括の九嶋俊一氏の発言を紹介する。
ドイツに本拠地を置くCelonis(セロニス)の日本法人は先頃、事業戦略についてオンラインで記者説明会を開いた。村瀬氏の冒頭の発言はその会見で、プロセスマイニングを駆使したCelonisのテクノロジーによって、日本企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)を押し進めたいと、決意表明したものである。
同社によると、プロセスマイニングとは「SAP ERPといった業務システムのイベントログから組織内のビジネスプロセスを可視化して、ビジネス上で発生する非効率(課題や改善ポイント)を分析する取り組み」のことだ。
村瀬氏は図1を示しながら、「企業の全ての業務プロセスをエンドツーエンドで見ると、それらは複数のシステムにまたがってつながっている。そこから、必要なログデータを収集してプロセスを可視化する。あたかもレントゲンを撮ったかのイメージだ。プロセスを可視化すると、その流れの中で無駄やムラが見えてくるが、それをデジタルで解消できるようにし、業務の生産性向上につなぐことができるのが、Celonisのテクノロジーだ」と説明した。
プロセスマイニングは2010年頃にドイツの大学などで理論や手法が考案され、その後、製品化されて欧州で広がり、2010年代後半には北米にも広がっていった。ただ、日本ではまだ注目され始めたばかりで、本格的な普及はこれからだ。2020年10月には「一般社団法人プロセスマイニング協会」も設立され、気運は高まっている。
Celonisはプロセスマイニングの研究の第一人者で独アーヘン工科大学教授のWin van der Aalst(ウィル・ファン・デル・アールスト)氏の理論を基に2011年に創業。Aalst氏は現在、同社のチーフサイエンティストとしても活動している。
同社はこの分野の草分け的存在で、自社のプロセスマイニングを活用した業務管理ソリューションは世界で2500社を超える導入実績を持つという。
今回の会見の内容は速報記事をご覧いただくとして、以下では、会見の質疑応答でのやりとりを記しておこう。筆者の質問は、「最近になってSAPをはじめとした有力な業務ソフトウェアベンダーがプロセスマイニングに注力し始めた印象があるが、この分野の専業であるCelonisは存在感を発揮し続けられるのか」というものだ。これに対し、村瀬氏は次のように答えた。
「もちろん、存在感をますます高めることができると確信している。その最大の理由は、Celonisのテクノロジーは(図1に示すように)どんな業務ソフトウェアにも適用可能な『ベンダーフリー』で使ってもらえるからだ。他のベンダーが提供するプロセスマイニングは、自社の業務ソフトウェアに適用するのが前提となっている。したがって、複数のシステムが混在する企業のIT環境全体にプロセスマイニングを適用するとなると、Celonisのテクノロジーが最適なことは明らかだ」
村瀬氏は前職でServiceNow Japan社長を約6年間務め、同社のビジネス拡大に大きく貢献したエネルギッシュな経営者だ。Celonisでも「日本企業の生産性を上げて、日本を元気にしたい」と意気込む。果たしてどれほどのインパクトをもたらすか。注目していきたい。