MongoDBのCTOが語る、AIがソフトウェア開発にもたらす大きな変化

今回は「MongoDBのCTOが語る、AIがソフトウェア開発にもたらす大きな変化」についてご紹介します。

関連ワード (CIO/経営等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。

本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。


 OpenAIの「ChatGPT」といった、絶大な人気を集めている生成型の人工知能(AI)などに代表されるAIは、ソフトウェア開発者に強力な武器を与え、その生産性を大きく高めていくための力になっている。これは、ドキュメント指向のNoSQLデータベースを手掛けるMongoDBの最高技術責任者(CTO)Mark Porter氏が米ZDNetとのインタビューで語った言葉だ。

 同氏は「生成型AIによって開発者が職を失うという懸念の声があちこちで聞こえる。しかし私はそれが誤りだと確信している」と述べた。

 そして「生成型AIはコーディングや、テストケース作成、コードに潜むバグの発見、ドキュメントの迅速な検索といった作業を支援してくれている」とし、「生成型AIの力を借りることで開発者は、われわれがずっと望んできた品質と速度、完璧さでコードを記述できるようになる」と続けた。

 同氏は、生成型AIだけではなく、「この15〜20年で登場したモデルやその他全てのものが今では堅牢になっている」と述べ、これによって「われわれは開発者のコードの書き方を変革するための手を打てるようになる」と述べた。

 今回のインタビューは、米国時間6月22日にニューヨーク市で開催された同社の開発者会議「MongoDB.local NYC」の場で実施した。なおこの開発者会議は、同社が2023年に米国内外のさまざまな都市で開催している29の開発者向けイベントの1つだ。

 Porter氏は3年前となる2020年にMongoDBのCTOに就任する前、データベース関連の重要な役割を幅広く担ってきた。こうした役割の中には、Amazon Web Services(AWS)において「Amazon Relational Database Service」(Amazon RDS)などを担当するゼネラルマネージャーや、東南アジアでライドシェアサービスを運営するGrabのCTO、Oracleでの10年以上に及ぶさまざまな経験(データベースカーネルグループの初期メンバーとしての役割やエンジニアリング担当バイスプレジデントなど)が含まれる。

 同氏はAIが「開発者のエコシステムを加速させる」と述べ、「今後もより多くのアプリが開発されると考えている」と付け加えた。

 また「コンピューターソフトウェアの開発にかかる時間や、そのソフトウェアがきちんと動作するようになるまでにかかる時間について、誰もがある種の思い込みを抱いている」と述べ、「生成型AIはこの思い込みを根底から覆すようになると私は考えている。われわれは、望み通りの速度と品質でアプリを開発できるようになる」と続けた。

 MongoDBが22日に開催したこのイベントにおける目玉は、同社データベースに新たに搭載されるAI能力の発表だった。

 同氏は「『MongoDB』は実際のところ、AIを開発している数多くの企業の基盤となっている」と述べた。マンハッタンにあるJacob K. Javits Convention Centerで開催された同イベントの会場には確かに、ConfluentやHashiCorp、IBM、AWSといった企業のブースが立ち並び、各社の関係者らが自社のソフトウェアテクノロジーにおけるMongoDBの利用方法を説明していた。

 同氏はMongoDBの新機能として、ベクトル値をネイティブなかたちで扱えるデータ型の搭載について語った。同氏によると、ベクトル値がサポートされることで、開発者は大規模言語モデル(LLM)が生成したコンテキストのベクトル表現を、クエリーに対するおおよその回答を表現したものとしてデータベースに格納しておけるようになるという。そうしておけば、関連検索を用いる際に必要な想起パラメーターを取り出し、正確な答えを得られるようになるとした。

 同氏は、ユーザーがChatGPTや他のLLMに質問を投げかけ、関連する一連の記事を取得するというケースを例に挙げ、その場合には「質問のベクトル値を得て、該当ベクトル値をデータベースに格納した後、そのベクトル値に近いものを照会する」ことになると述べた。

 そして同氏は、「次にLLMに対し、これらの記事を与えるとともに、そこに述べられていない内容を一切用いずに、これらの記事から質問の答えを作り出してほしいというプロンプトを投げかける」ことになると続けた。

 これでLLMは長い記事の要約を作成する機能を実行するようになると同氏は述べ、「私は長い記事の要約が欲しい場合にLLMを好んで用いている」とした。

 AIとデータベースは、このようにして役割を分担することになる。

 同氏は「オンライン取引処理システムでLLMを使いたいと思う人などいないはずだ」と述べ、「LLMはそれが得意とする分野で使い、データベーステクノロジーや行列テクノロジーもそれが得意とする分野で使いたいと思うはずだ」と続けた。

 スタンドアロンのベクトルデータベースを提供している企業は同社以外にもあるが、Porter氏によると同機能を搭載することでアプリケーション開発者の負担が軽減されるという。同氏は「これは、2つ(のデータベース)の間にパイプラインを生成し、データをコピーする必要がないということを意味している」と述べ、「2つの異なるシステムを管理する必要はなく、全てが単一のシステム内に存在し、コアデータやメタデータ、ベクトルの全てが単一のデータストアに格納されることになる」と続けた。

 同氏は、AIがどれほど進歩しようと、「開発者の仕事がなくなるわけではない」と述べた。

 「開発者は今後も顧客の声に耳を傾け、リーダーの話を聞き、何を開発するかを判断することになる」(Porter氏)

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