日立、2022年度第1四半期決算は増収減益–デジタル好調も半導体などに課題
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日立製作所は7月29日、2022年度第1四半期(2022年4月~6月)の連結業績を発表した。売上収益は前年同期比8.5%増の2兆5698億円、調整後営業利益は同6.8%減の1215億円、Adjusted EBITAは3.9%減の1548億円、税引前利益は同54.1%減の766億円、当期純利益は同69.6%減の371億円となった。
執行役副社長兼CFO(最高財務責任者)の河村芳彦氏は、「デジタルシステム&サービス」や日立ハイテクなどの事業が増収増益になり、DX(デジタルトランスフォーメーション)やGX(環境対策)を軸とした成長戦略を推進するGlobalLogicを含むLumada事業の売上成長が堅調に推移したと報告。日立エナジーや鉄道システム事業の受注が増加し、特に日立エナジーでは、環境への関心の高まりもあり、年間売上高に匹敵する受注を獲得。だが、半導体不足や中国ロックダウンの影響を受けた自動車関連事業の日立Astemoや、家電事業を担当する生活・エコシステム事業が減益になり、「この2つの事業の立て直しが下期に向けた課題」と総括した。
成長をけん引するLumada事業の売上収益は、58%増の3990億円。そのうちデジタルエンジニアリングの売上収益が4.8倍の480億円、マネージドサービスが24%増の1310億円、システムインテグレーションが34%増の860億円、コネクテッドプロダクトが63%増の1340億円だった。
河村氏は、「Lumada事業が為替の影響もあり計画よりも上振れし、全カテゴリーで成長している。コネクテッドプロダクトは従来事業とのシナジーが顕在化し、半導体製造装置や送変電設備などの裏側にLumadaを実装している。また、システムインテグレーションでは、デジタルシステム&サービスやコネクティブインダストリーズでのビジネスが堅調に伸びた。マネージドサービスは、ビルの遠隔監視、大型機器の保守などが増加し、日立ヴァンタラによるクラウドへの移行提案の実績が海外で伸びている。国内は日立ソリューションズ、日立システムズのセキュリティ監視サービスが成長し、鉄道やエネルギーでの保守サービスも増加している」と説明した。
Lumada事業における売上収益のセクター別構成は、デジタルシステム%サービスが1670億円、コネクティブインダストリーズが1640億円、グリーンエナジー&モビリティが650億円で、国内外比率は海外が55%、国内が45%だった。
また、GlobalLogicの業績は、売上収益が47%増の463億円、Adjusted EBITAは41億円増の107億円だった。4月1日に設立した「GlobalLogic Japan」は、6月から家電量販店のノジマとDX戦略の実行や具現化の加速に向けた協創プロジェクトを開始。リアル店舗のデジタル化などに取り組む実績が生まれている。「日本はDX専門会社が少なく、市場ニーズの高いところで活動できる。既にコンシューマグッズメーカー、製造業、卸売会社に個別コンサルティングなどを行っている。GlobalLogic Japanによる日本での具体的な計画を今後立案して発表する。デジタル人材獲得にもGlobalLogicの機能を活用し、将来的に国内外1500人規模にする」(河村氏)
セクター別業績では、デジタルシステム&サービスの売上収益が14%増の5053億円、Adjusted EBITAが50億円増の493億円となった。そのうちフロントビジネスの売上収益は3%増の2004億円、Adjusted EBITAが32億円減の97億円。ITサービスの売上収益は4%増の1923億円、Adjusted EBITAが22億円増の206億円。サービス&プラットフォームの売上収益は35%増の2102億円、Adjusted EBITAは46億円増の160億円となった。
グリーンエナジー&モビリティの売上収益は8%増の5124億円、Adjusted EBITAは67億円増の185億円。そのうち受注が好調に伸びている日立エナジーは、売上収益が14%増の3019億円、Adjusted EBITAは部品価格高騰の影響により前年並みの174億円だった。
コネクティブインダストリーズの売上収益は前年並みの6708億円、Adjusted EBITAは11億円減の610億円。そのうち家電事業による生活・エコシステムは、売上収益が26%減の819億円、Adjusted EBITAが90億円減の43億円となった。オートモーティブ事業の日立Astemoの売上収益は1%増の3882億円、Adjusted EBITAは前年同期比178億円減の46億円の赤字となった。
海外の売上収益は16%増の1兆6963億円で、全体構成比では66%。北米の売上収益が32%増の4722億円、欧州が20%増の3690億円、中国が1%増の3522億円、ASEAN・インドが12%増の3029億円、その他地域が16%増の1997億円だった。日本は4%減の8734億円で唯一前年割れした。
なお、第1四半期における半導体不足の影響は、売上高で400億円規模のマイナスの影響があり、その多くを日立Astemoが占めるという。また、資材費高騰では前年比350億円のマイナス影響があり、対策を含めると営業利益に対して300億円のインパクトがあったという。さらに中国・上海のロックダウンの影響が売上高で約600億円、営業利益で約200億円もの影響があった。
河村氏は、「昨年同期の予想では、半導体不足の影響が緩和されると見込んでいたが、依然厳しい状況だ。最先端のものは投資が進んで需給環境が回復してきているが、自動車のパワーウインドウの開閉、電気の点灯の制御などに利用する1世代前、2世代前の半導体の供給が厳しい。20ナノや30ナノなどのローエンド半導体は、あと1年ほどこうした状況が続くだろう。半導体機能をソフトウェアで代替し、調達しやすい半導体で利用できるようにしている」と述べた。