ポストコロナ禍のネットワーク利用に対応する–A10のトリベティCEO
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A10 Networks(A10)の社長兼最高経営責任者(CEO)を務めるDhrupad Trivedi氏は、コロナ禍で変化するネットワーク利用に対応した取り組みを日本市場で展開していくと表明した。2019年の就任後としては初来日した同氏に、新たな施策などを聞いた。
Trivedi氏は2019年11月に就任した。それ以前は米Beldenが買収した脆弱性管理ソリューションのTripwireの副社長、Beldenで最高技術責任者(CTO)などを務めており、通信やサイバーセキュリティなどの業界経験は20年以上に及ぶ。
同氏は、「A10は、顧客のビジネスクリティカルなネットワークに安全と可用性、効率性を提供することをミッションにしている」と述べる。コロナ禍により世界的にオンラインへのシフトが進んでおり、キャリアグレードをはじめとするネットワーク機器を提供する同社のビジネスも成長しているとのこと。2021年の業績は、売上高が過去最高となる前年比10.9%増の2億5000万ドルだった。なお、2020年の成長率は6.0%、コロナ禍以前の2014~2019年は年平均3.4%だったという。
顧客数もグローバルで7000社を超え、通信事業者をはじめとするサービスプロバイダーが65%を占める。コロナ禍を受けてDDoS(分散型サービス妨害)攻撃対策、SSL暗号化通信の検査といったセキュリティソリューションのビジネスが好調に推移し、販売構成比では2019年の14%から2021年は19%に拡大。キャリアグレードのファイアウォール/CGNも43%から55%に高まっている。
Trivedi氏によれば、同社にとって特に日本は、ビジネス全体の30%を占める非常な重要な市場という。CEO就任直後にコロナ禍が起きたため、長らく日本市場に足を運ぶことができないでいた。今回の来日目的は、日本の顧客と直接コミュニケーションすることで、ニーズをヒアリングすることが1つにあるという。
「この間に日本(法人の)チームから聞いていた市場の状況から、日本の顧客はこれまで以上にビジネスにおけるテクノロジー投資の効果を深く考えるようになった印象を受けている」(Trivedi氏)
そこで日本市場に対し、(1)超高性能・低遅延なネットワークソリューションの提供、(2)大規模環境における実装の簡素化、(3)柔軟な提供提供形態とライセンスモデル――の3点を掲げる。
(1)および(2)は、先述のようにコロナ禍を受けて多くのビジネスでオンラインの比重が増しており、ネットワークトラフィックも増加、さらにはDDoSなどのセキュリティの脅威も増していることに対応するためという。同社が直近で発表した2021年のセキュリティ動向レポートによれば、DDoS攻撃の拡大に加えて脆弱性を悪用する攻撃など手口の複雑化が進行している。
「ネットワークを通じて不正侵入を図る攻撃が増えているばかりではなく、ネットワークに接続されたあらゆるものに攻撃の影響範囲が広がる傾向を見せている。顧客にとっては、複雑化する脅威への対応負荷が大きく、自社に影響するものとそうでないものの切り分けなど、(運用の)効率化が重要になっている」(Trivedi氏)
(3)では、顧客の設備投資(CAPEX)だけでなく事業運営(OPEX)にもフォーカスするしていくとする。提供形態としてはクラウドや仮想化環境に対応した各種ソフトウェアを拡充し、多様な導入環境への対応を図っていくほか、運用面では、DDoS攻撃の高度な検知・防御、SaaSベースの管理や可観測性(オブザーバービリティー)の機能提供といった高付加価値サービスを提供する。
ライセンスについても顧客の要件に合わせて柔軟性を高める。ハードウェアとソフトウェア、サービスの機能に応じた組み合わせやサブスクリプション、パーペチュアル(永続型)、コンサンプション(消費型)などを挙げる。
Trivedi氏は、これらの取り組みを進めつつ、日本市場でも台頭しつつあるという「ゼロトラスト」型のセキュリティ対策環境の導入・整備やエッジコンピューティングなどの新しいネットワークの使い方に引き続き注目していきたいと述べた。