「最新セキュリティの理解は顧客が進んでいる」–チェック・ポイントの青葉社長

今回は「「最新セキュリティの理解は顧客が進んでいる」–チェック・ポイントの青葉社長」についてご紹介します。

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 チェック・ポイント・ソフトウェア・テクノロジーズは、1993年にイスラエルで創業し、“老舗”セキュリティベンダーの1つに数えられる。また、世界中の企業や組織にファイアウォールを広めた“功績者”としても、しばしば名前が挙げられる。2022年3月に代表取締役社長に就任した青葉雅和氏は、就任直後の事業戦略説明会でセキュリティ市場に浸透しているそうした同社のイメージを払しょくしたいと表明した。今回、青葉氏に改めて取り組み状況などを尋ねた。

 青葉氏は、先の説明会において製品・サービスの観点ではクラウドセキュリティの「CloudGuard」、リモートアクセスの「Harmony」、セキュリティアプライアンスの「Quantum」シリーズを中心とする包括的なポートフォリオの展開、ビジネスの観点では営業人員の増強とパートナービジネスの拡大を掲げた。

 製品・サービスの領域では現在、顧客の抱える主な課題が「ゼロトラスト」に基づくセキュリティ対策の再構築になっているという。青葉氏は、以前にシスコシステムズやシトリックス・システムズ・ジャパン、ブロケードコミュニケーションズシステムズで要職を歴任し、特にネットワーク分野のビジネス経験が豊富だ。

 「過去にMPLS(マルチプロトコルレイヤースイッチング)による企業ネットワークのソリューションなどを多数提案してきた経験に照らすと、現在は大きく状況が変わった。お客さま企業のIT部門に話を聞くと、どこもオフィスへの出社率は2~3割程度であり、社内ネットワークがコロナ禍以前に比べて使われなくなっている。PCを自宅にも持ち出し、ネットワークもデータセンター経由ではなくインターネット経由で直接クラウドの業務アプリケーションを使うようになった。お客さまは『ゼロトラストになるから』というよりも、この環境に合わせたセキュリティ対策を整備しなければいけないという課題を抱えている」

 青葉氏は、日本市場でここ数年の間に「ゼロトラスト」というセキュリティの新しい考え方が顧客の間に浸透したとし、「ベンダーよりもお客さまの方がゼロトラストを理解し、詳しい場合がある。ゼロトラストに基づく具体的なセキュリティ対策環境を自社に即してどのように実装したら良いかという点に関心が移っている」とも述べる。

 このため青葉氏は、同社内に「カスタマーブリーフィングセンター」を開設。顧客の状況に合わせて、「セキュアアクセスサービスエッジ(SASE)」やエンドポイント保護、クラウドセキュリティなどの製品・サービスを提案、体験できる場を提供するようにした。これはビジネスの観点で掲げる営業人員の増強も兼ねた取り組みになる。「当社の担当者もお客さまにきちんとした提案ができなければならない。そうした人材育成にもこの環境を活用している」という。営業人員は2022年中に1.5倍に増強する計画で、「採用は順調で、年内に実現できる見通し」としている。

 パートナービジネスの拡大では、「今後3年間でビジネス規模を2倍」という目標を掲げる。これも順調に推移しているとし、今秋中に数社との新たなパートナーシップ契約の締結を発表できる見込みだという。この中には、あるビジネスソリューションの提供に強みがあり、新たにチェック・ポイントのセキュリティソリューションを組み合わせていくとこともあるという。従来はセキュリティソリューション単独の提案が多かったとのことで、顧客企業で進むリモートワークなどの新しい働き方とIT環境の変化に対応する動きとなるようだ。

 青葉氏は、顧客企業のセキュリティ対策が移行期にあると見る。働き方改革とクラウド中心のIT環境への移行がコロナ禍で急速に進行し、オンプレミスで構築してきた「多層防御」や「境界防御」をゼロトラスト型に移行させる動きだ。

 「お客さまの目下の取り組みは、オンプレミスでもクラウドでも一貫したセキュリティポリシーを適用できること。現状では、オンプレミスとクラウドでセキュリティ担当者が異なり、ポリシーも別々でそれがセキュリティリスクになっている。先日訪問したある企業も、数千社の関連会社を抱えており、サプライチェーンのサイバーセキュリティリスクが指摘される中で、セキュリティポリシーを統一したいと話していた。すぐには難しいが、多くの企業が長期的にそのように環境を整備していく」

 また、顧客に対するセキュリティの最新動向の情報提供も強化している。「300人の専門家によるグローバルのリサーチチームが頻繁に最新の脅威動向などを発しており、これをすぐ日本語に翻訳してお客さまに提供している。特にお客さまの経営層にとって、セキュリティ対策がコストではなく投資であることをご理解いただく上でも、自社のセキュリティ状況のレポートと合わせて情報をご活用いただきたいと考えている」

 青葉氏の言う「老舗セキュリティベンダー」「ファイアウォールベンダー」といった市場に根強く残るチェック・ポイントに対するイメージに対して、同社の実態は既に大きく異なるという同氏。目標への船出は、順調に始まっているとする。

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