NECのCDOが語る「今、DX人材の中で至急増強すべき職種とは」
今回は「NECのCDOが語る「今、DX人材の中で至急増強すべき職種とは」」についてご紹介します。
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本連載「松岡功の『今週の明言』」では毎週、ICT業界のキーパーソンたちが記者会見やイベントなどで明言した言葉を幾つか取り上げ、その意味や背景などを解説している。
今回は、NEC 執行役員副社長 兼 CDOの堺和宏氏と、フォーティネットジャパン 社長執行役員の田井祥雅氏の発言を紹介する。
NECは先頃、機関投資家や証券アナリストを対象とした個別事業説明会「NEC IR Day」をオンラインで開催した。冒頭の発言はその中で、同社が成長領域と位置付ける「コアDX(デジタルトランスフォーメーション)事業」について説明した執行役員副社長 兼 CDO(チーフデジタルオフィサー)の堺氏が、DX人材の増強におけるホットな動きを述べたものである。
NECは社内のDX人材について、2021年度(2022年3月期)段階で5874人だった規模を2025年度(2026年3月期)で1万人に拡大する目標を掲げている。同社が現在、DX人材としている職種は、「コンサルタント」「アーキテクト」「アジャイルエンジニア」「データサイエンティスト」「クラウド系人材」「生体認証・映像分析人材」「サイバーセキュリティ人材」の7つ。それぞれの職種の内容は表1に示した通りで、いずれも育成や獲得に向けた動きを積極的に行っているという。
7つの職種の中で、特にNECらしいのが生体認証・映像分析人材を挙げていることだ。この分野ではかねて顔認証技術を得意としており、これを映像分析技術と組み合わせて、多様な需要が見込まれるデジタルIDの世界をリードしようというのが、同社の将来ビジョンの一つとなっている。
図1は、DX人材の育成状況を示したものである。左のグラフは累計人数の推移で、先述したように2021年度の5874人から2025年度の1万人へ増強するために、年間伸長率15%を達成する計画だ。
また、右のグラフはDX人材の7つの職種における育成構成比率を示している。2021年度段階では、クラウド系が50%を占めており、データサイエンティストが16%、生体認証・映像分析人材が11%と続いている。この比率について、堺氏は次のように説明した。
「クラウド系が多いのは、当社として6年ほど前からクラウド事業に注力し、最近になってお客さまの既存システムをクラウドに移行する『リフト&シフト』の需要が非常に高まってきているからだ。DX人材と言っても伸長している事業分野に必要な人材を投入することに変わりはないので、その結果としてクラウド系の比率が高くなっている。同様に、データ分析の需要の高まりに応じてデータサイエンティスト、デジタルIDの需要の高まりに応じて生体認証・映像分析人材の比率が高くなっている」
その上で、同氏はこうも述べた。
「2022年に入って急速に専門人材を求められているのが、サイバーセキュリティ分野だ。現状からすると、このままでは事業の伸長に必要な人材の数が追いつかなくなるとの強い危機感を抱いている」
冒頭の発言はこのコメントから抜粋したものである。実は、この発言は視聴者との質疑応答の中で出てきたものだ。それもあって、堺氏のCDOとしての本音が聞けたような気がしたので、明言として取り上げた次第である。