第4回:ブロックチェーンを活用した電子署名サービス

今回は「第4回:ブロックチェーンを活用した電子署名サービス」についてご紹介します。

関連ワード (企業利用が本格化するブロックチェーンの現在と未来、特集・解説等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。

本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。


 第4回は、テレワークの拡大でペーパーレスのニーズが拡大した電子契約にブロックチェーンを取り入れたサービスを事例として紹介する。

 紙媒体による契約では署名・押印を行うことで取引の安全性を確保してきた。これに対し電子契約では、電子データが改ざんされていないことを証明することが取引の安全性を担保する上で重要となった。今回紹介する事例では、一般的な電子契約の仕組みにブロックチェーン技術を加えたことで、全ての操作履歴を証跡として扱うなどして電子契約により高い真正性を確保させた。

 以下に、電子契約に求められる機能と、ブロックチェーンの価値を紹介する。

 企業間で交わす紙媒体の契約書は、署名・押印に加えて、原本の製本や郵送、印紙購入・貼付け、保管などの多くの時間とコストを要する業務となっている。

 これらの作業の効率化が求められる中、新型コロナウイルス感染症をきっかけとしたテレワークの急速な拡大は、場所にとらわれず柔軟に働くためのインフラ環境の整備、ペーパーレスでの手続き完了のニーズを大きく後押しした。

 紙媒体を前提としていた契約行為の非効率な業務を解消する代替策が、インターネット上でPDFなどの電子文書ファイルを用いて契約が行える電子契約であり、現在、複数の企業からクラウドを利用した電子契約サービスが提供されている。

 ここでは一例として、電子契約にブロックチェーンを適用したSaaS型電子契約サービス「日立電子署名サービス」の主な機能と特徴を紹介する。

 電子署名法や電子帳簿保存法など関連法律に準拠し、契約書の作成から保管までの一連の業務を効率化させるための機能を提供している。主な機能は以下の通りである。

 電子契約の仕様は以下の通りである。

 セキュリティ、利便性を考慮した主な特徴は以下の通りである。

 契約書などの法的効力を前提とする文書を対象とするには、電子契約に必要な法令に順守した上で、改ざんされていないことを客観的に証明する必要がある。

 このサービスでは、Adobeの認定証明書によるPDF電子署名情報(AATL証明書)の埋め込みを行うことで、契約書がこのサービスから発行されたものであることを保証し、認定タイムスタンプにより契約書の発行日時を証明している。

 さらに、電子署名が完了した文書(PDF)のハッシュ値と、いつ、誰が、どの署名を実施したかという契約締結の過程をブロックチェーンに証跡として記録している。

 発行者と発行日時の保証に加えて、ブロックチェーンを活用することで契約書(PDF)の真正性を高め、取引記録を担保して改ざん防止をしている。

 電子署名が行われる流れは以下の通りである。

 契約を行う企業体では、取引先が利用しているサービスに合わせて、幾つかの種類を使い分ける場合がある。このサービスでは、他の電子契約サービスで発行された電子契約書であっても、契約書がPDFファイルであるという条件を満たすことでこのサービスに取り込むことができる。これにより利用企業は複数のサービスを利用しながら文書の一元管理を行うことができる。

 ブロックチェーンを活用して証跡やデータの真正性を高めても、入力する際のなりすましは防ぐことができない。なりすまし防止はブロックチェーンを活用する際の課題の一つでもある。このためログイン時にスマートフォンなどのデバイスを利用した複数の認証機能を提供し、本人確認の信ぴょう性を高めている。

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