サイオス、2023年度はSaaS事業への投資を継続–DX目的に活用機運高まる

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 サイオスは12月7日、2023年1月から始まる2023年度の注力事業を説明する事業戦略発表会を開催した。サイオステクノロジーやSIOS Technologyを傘下に抱える持ち株会社サイオス 代表取締役社長 喜多伸夫氏は、現在の市場環境について「コロナ禍を契機にDX(デジタルトランスフォーメーション)実現を目的とするSaaSやパブリッククラウドの活用機運は高まっている」と分析しつつ、自社SaaS製品へ継続して注力すると表明している。

 同社主力製品である高可用性(HA)クラスタソフトウェア「LifeKeeper」などオンプレミス製品に対しても、「パブリッククラウドで使用する事例が増加中。成熟度を高めつつ、ビジネスを伸ばしたい」とクラウド化の可能性を示した。

 サイオスグループの2023年度はSaaS事業への投資を継続強化する予定だ。同社は業務の流れを管理する「Gluegent Flow」やIDaaSの「Gluegent Gate」などを内包する「Gluegent(グルージェント)」シリーズ、ハイブリッドワーク環境を支援する「HR Tech」、電子カルテサービスの「Med Tech」などを提供している。

 特に医療分野のSaaS化について喜多氏は「(電子カルテに代表される)医療情報システムの普及率は年々上昇しているが、クラウド活用には至っていない。データの標準化も進んでおらず、厚生労働省もデータの統一化を指し示している。我々は医療分野のDXを支援するSaaSとして、『INDIGO NOTE(インディゴノート)』をリリースした」と述べている。

 INDIGO NOTEは医療法人社団 成仁の監修・設計下でサイオステクノロジーが開発した精神科病院向けのクラウド電子カルテサービス。昨今は医療情報交換を目的とした標準規格である「HL7 FHIR(Fast Healthcare Interoperability Resource)」が注目を集めているが、Google Cloudが提供するCloud Healthcare APIで同サービスを構築した。

 喜多氏はINDIGO NOTEについて「政府や医療業界のデータ標準化に呼応し、医療機関間における医療情報共有や臨床研究などにも活用できる。サブスクリプションモデルの採用で導入コストも大幅に削減可能。また、後発の強みを生かして、先発品の成功に資する知識や失敗から学ぶ知識を吸収した」サービスだと主張している。

 前述の通り、INDIGO NOTEは精神科病院向けSaaSだが、今後は他の診療科に展開するとともに、APIの拡充に合わせたレセプト(診療報酬明細書)などシステム連携の拡充を目指す。INDIGO NOTEはGoogle Cloudのグローバル導入事例としても取り上げられた。

 2022年7月にロゴを刷新したGluegentシリーズだが、その理由としてサイオステクノロジー SaaSビジネスストラテジスト 瀧下浩氏は「モバイルが当然の時代に小さな画面でも視認性を高めるロゴに変更した」と説明している。

 業務の流れを管理するGluegent Flowは「まだ、紙の稟議申請を電子化したいとの要望も多く、システム間連携を自動化する切り口で活用するケースも増えてきた」(瀧下氏)ことから需要は右肩上がりという。

 2022年はCloudSignやDocuSign、GMOサインなど各種電子署名契約サービスとの連携強化に努めてきたが、今後は「同様の機能をGoogle Workspace以外でも求められてきた。顧客の声に応えた機能強化に努める。また、直接販売体制に加えてパートナー企業による販売体制の強化も推進」(瀧下氏)する予定だ。

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