「請求QUICK」、請求書受取機能を搭載へ–発行、受け取り、電子保存を1つのシステムで
今回は「「請求QUICK」、請求書受取機能を搭載へ–発行、受け取り、電子保存を1つのシステムで」についてご紹介します。
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SBIビジネス・ソリューションズは1月12日、「請求QUICK」が請求書受取機能を9月から搭載することを明らかにした。
請求QUICKは現在、請求書の作成から発行、入金消込や会計仕訳まで全てをウェブ上で完結するクラウドサービスだが、9月からはさまざまな請求書の受け取りに対応する。ファイル形式の請求書は、請求QUICK内で送付元企業別に設けられた専用のメールアドレスで受け取れば、ワンクリックでAI-OCR(AI技術を組み合わせた光学文字認識)が読み取り、支払依頼が作成される。請求QUICK間の場合、専用のURLで受け取ることもできる。
紙の請求書の場合、スキャナーで読み取られアップロードされる。請求QUICKは電子帳簿保存法に対応しているため、原本の保管は不要になる。紙かファイルかにかかわらず、請求書に加えて契約書・納品書・領収書といった国税関係書類を適切に電子保存できる。
承認機能により、オンラインでの支払承認が可能になるため、押印作業が不要になる。承認済みの支払依頼伝票は、そのまま全国銀行協会形式のファームバンキング(FB)データとして出力ができるので振込作業を効率化する。
インボイス対応に必要な登録事業者番号も自動でチェックできる。OCRで読み取った登録事業者番号を国税庁のデータベースと付合して自動判定する。判定結果は請求QUICKにすぐに反映されるため、登録事業者番号確認の作業負担を軽減できる。
10月以降には、仕分作成機能と出金消込機能の実装も予定されている。
仕分作成機能により、支払依頼伝票はそのまま仕訳データとしてCSV取り込み可能な会計ソフトに連携できる。会計ソフトに入力する手間を省き、月次処理を円滑に実行できるようにする。出金消込機能は、支払依頼データと出金データを照合して自動で消し込むことで正確な支払管理をサポートする。
また、デジタルインボイスの発行と受取で「Peppol」への対応も検討を進めているという。
請求書受取機能を搭載する背景として、代表取締役社長の夏川雅貴氏は、中小企業における経理の課題と法対応の実態を挙げる。
中小企業では、経理の専門部署がなく、営業担当や社長自らが経理事務を兼ねていることもあり、新しい対応への余裕がないという「リソースの課題」がある。また、既に少人数運営で、人員を減らす余地が限られ、業務効率化のために追加コストを払うインセンティブが弱いという「コストの課題」もある。加えて、宥恕(ゆうじょ)期間が2024年1月1日に終了する改正電帳法や2023年10月1日に開始されるインボイス制度といった法対応による負荷がかかる状態にある。
請求書に「登録事業者番号」や税率ごとに計算した消費税額と税率を記載するといった請求書の発行側で必要な作業に加え、「登録事業者番号」が正しいかの確認作業、明細ごとの仕訳入力と税率ごとの入力業務、インボイスを正しく受領できているかのチェックと後処理といった請求書の受領側での作業にも対応しなければならない。
中小企業のインボイス制度への課題感に関する調査の結果では、インボイス制度対応のために「クラウドサービスなどの外部ツールを新たに導入しようと考えている」のは全体の8.7%で、最も多かったのは「税理士など専門家に任せる」で35.9%だった。
インボイス制度対応のために新たに外部ツールを導入しない理由としては、「毎月のコストがかかりすぎるから」が第1位で、「外注に費用をかけたくない」「経費を少なく抑えたい」 「そもそもそれをまかなえるだけの売り上げがない」などの声があるという。
請求書受取機能の追加後も料金体系は維持され、月額無料から利用を開始できる。一方で、請求書の発行、受け取り、電子保存が1つのシステムで可能になることから、中小企業の経理財務DXを全面的にバックアップできると夏川氏。
請求書の発行、受取、電子保存が個別システムとして提供されている場合と異なり、マスター情報をそれぞれに登録する必要がないため、システム運用・管理の負担が軽減できる。また、システム間連携が不要で、データの一元管理が可能なため、専任のシステム担当者がいない中小企業でも容易に利用できる。
請求QUICKは、請求書発行システムとして2022年3月に提供が開始された。12月には月間280社の新規申込みを獲得し、1月10日時点での継続利用申込社数は628社だった。
夏川氏は、請求書は発行するのが目的ではなく「決済する」のが目的とし、「請求QUICKは単なる業務効率化ツールではなく“SaaS×FinTech”の決済システム」と続ける。請求QUICKでは、請求書の作成・承認・発行・受取を可能にするSaaSとともに、発行した請求書を決済する「入金QUICK」「消込QUICK」「クレカQUICK」といったフィンテック機能を利用できる。「請求書受取機能が追加されることで、支払に関するフィンテックを搭載していきたいと考えている」(同氏)
今後は、中小企業にとっての経理財務DX実現のため、請求QUICKから得られたデータを活用してフィンテック機能をさらに強化していくという。「フィンテックサービスを中心に据えて、中小企業の経理財務DX支援を強化していきながら、大企業しか使えなかったようなサービスを中小企業にも提供したい」(夏川氏)