リコー新社長に専務の大山氏–デジタル企業化への総仕上げを表明
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リコーは1月30日、4月1日付で取締役コーポレート専務執行役員の大山晃氏が代表取締役社長執行役員・CEO(最高経営責任者)に就任すると発表した。現職の山下良則氏は、同日付で代表取締役会長に就く。
同日午後5時から行われた記者会見で大山氏は、「正直驚いたが、今は使命感と緊張感でいっぱい。リコーのデジタルサービス会社への変革を加速し、リコーの強みを確実に価値に変え、収益力の向上を図りたい」と抱負を述べた。
大山氏は1961年1月の生まれで山形県出身。1984年3月に早稲田大学政治経済学部を卒業後同年7月にリコーに入社。海外事業の経験が長く、買収したGestetnerやIKONといった海外企業を軌道に乗せた実績を持つ。2011年4月にRICOH EUROPE PLC社長兼COO(最高執行責任者)に就任。2012年8月にグループ執行役員に就任し。欧州販売事業本部長およびRICOH EUROPE PLC のCEO、RICOH EUROPE B.V.会長を兼務した。2014年4月に常務執行役員 コーポレート統括本部長に就き、2015年4月にRICOH AMERICAS HOLDINGS社長に就任。2015 年6月に取締役に就任している。
その後、2015年9月には新規事業開発本部長、2016年6月 に専務執行役員、2017年4月にCFO(最高財務責任者)兼CEO室長、2018年4月に販売本部長、2019 年4月にCMO(最高マーケティング責任者)、2020年4月にワークプレイスソリューション事業本部長を経て、2021年4月より現職でリコーデジタルサービスビジネスユニットプレジデントに就いた。現在はリコージャパンの取締役会長も兼務する。
大山氏は、「入社から前半の約20年間で海外事業の拡大、後半はグループの全体戦略と、デジタルサービスの展開を担ってきた。欧米では、買収した3つの異なる企業に関わり、多国籍企業での多様性を経験し、多様性が新たな可能性が作ることを学んだ。リコーは、メーカーから脱却し、デジタルサービスの会社を目指している。多様な顧客接点に対応でき、グローバルの経営を強化できる人材として、今回の社長就任の話に至ったのではないか」と述べた。
その上で、「グローバルビジネスは、それぞれの地域で発展させる足し算ではなく地域間のシナジーや共通施策、共通サービス基盤を活用し、グローバルをまとめることが大切であり、その能力を期待されたのではないか」ともコメント。「私のミッションは山下社長が始動させたデジタルサービスの会社への変革を実現することにある。それにより企業価値が継続的に高まり、全てのステークホルダーにメリットを享受してもらいたい」とした。
また、「山下社長は強力な発信力で会社をまとめてきた。繰り返しメッセージを出し、それが届いたかどうかを現場に行き確認する。会社をまとめていくことに長けた方で、見習うところは多いがまねはできない。私の持ち味を生かしていきたい。磁石のような形で意見を吸収しながら回してくスタイルでやっていく」などと語った。
さらに、リコー創業者の市村清氏の言葉を引用し、「私の経営のよりどころは『三愛精神』。人を愛し、国を愛し、勤めを愛すことで、リコーの事業に関わる人たちの利益を考え、社会課題の解決に貢献し、働く喜びを感じられる環境を作り上げる。大義ある経営を行うことが、中長期の企業価値向上に結びつく。ESG(環境・社会・統制)への認識の重要性が高まる中で、大儀なき経営は持続しないとの信念を持ち経営にあたる」と意気込みを話し、「創業者は新たな発想で数多くの事業を成功させてきた。私のモットーは『大胆かつ細心』。大胆な発想でのジャンプは必要だが、それが裏打ちのない無謀な試みではいけない。改めて『大胆かつ細心』を肝に銘じ、創業者の実行力を見習い、結果を出していく」とした。
大山氏は、取り組むテーマに「リアルワールド×サイバーワールド」「アナログとデジタルをつなぐエッジデバイス」「グローバルでの強固な顧客接点」の3点を挙げた。
「リアルでのお客さま支援とサイバー上でのソリューション提供をシームレスに行うことがデジタルサービスを提供するリコーの強みになる。お客さまのワークプレイスで、アナログとデジタルでつなぐエッジデバイスを活用したソリューションを提供していく。これは、サイバー上でのプレイヤーに対してリコーの優位性になる。同業他社に対する強みは、強固なグローバルでの顧客接点を有し、グローバルで共通するサービス、地域に根ざしたサービスの両軸でお客さまに貢献する能力がある点」とする。
また、「まずやるべきことは、原点に立ち返り、リコーの強みを価値に変え、価値を収益にしていくこと。ハードウェア、ソフトウェアの提供をサービス化し、データ分析を含めたさまざまなソリューションを組み合わせ、継続的に提供価値を向上させ、それに応じた対価をもらうビジネスモデルへの転換を加速していく」とした。
顧客へのより多くの価値提供のためにグループの組織構造の変革も必要とし、「山下社長が取り組んできた改革を引き継ぎ、メーカー機能が付加価値創造の多くを担うこれまでの組織体制から、各地域の顧客接点でより多くの付加価値を創出できる体制に構造を抜本的に見直していく。そのためには、地域ごとにお客さま課題への対応能力を高めるだけでなく、グローバルで展開するグループ経営が重要になる。リコーの強みを価値に変え、価値を確実に収益化していくためにビジネスモデルの変革を加速する」と、企業変革に向けた意欲をみせた。
その他に、「ESG分野のグローバルトップランナーのポジションは堅持すること」「社会課題解決と事業成長の同時実現を目指すこと」「積極的な人的投資を行い会社の成長と社員の自己実現を両立できる会社にしていくこと」――を目標に掲げている。