練馬区と富士通Japan、住民税などの滞納整理にAI活用–収納率と徴収額を向上へ
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東京都練馬区と富士通Japanは、住民税と国民健康保険料の滞納整理に人工知能(AI)システムを活用する2つの実証実験を開始する。滞納者の財産調査業務へのAI活用は、全国で初の試みという。効果測定は3月27日から6月末まで行い、検証と考察は7月から9月末まで実施する。
実証実験は(1)財産調査先候補の最適化と(2)調査の難易度と職員習熟度のマッチング最適化の2つ。
(1)では、滞納者の所得や税務情報、過去の調査履歴などのデータと、ベテラン職員の財産調査の進め方をAIに繰り返し学習させ、調査先とすべき銀行や保険会社などの候補を提示する支援システムを開発する。これにより、滞納案件1件当たり職員が平均約30分要していた調査先を決める判断を約5分に短縮することを目指す。
(2)では、過去の財産調査の作業記録を基に、調査時間や作業工数の相関関係をAIに学習させる。案件の難易度と職員の習熟度をAIが推定し、職員の習熟度から作業効率や負担を考慮して案件の割り当て候補を提示する。
住民税と国民健康保険料の滞納整理では、滞納者の過去の調査履歴などの多岐にわたる情報を整理して、調査先を的確に絞りこむベテラン職員のノウハウが不可欠となっている。しかしベテラン人材は不足しており、今回の取り組みを進めることとなった。今回開発するシステムの活用により、経験が浅い職員でもベテラン職員と同等の成果が得られることを目指す。また職員が習熟度に適した案件を担当することで、収納業務全体の効率化と底上げにつながるかも検証していく。
練馬区では実証実験の結果を踏まえ、住民税と国民健康保険料の収納率と徴収額を向上させ、4億円以上の徴収効果を目指す。