オートデスク幹部が語る、プラットフォーム戦略と顧客エンゲージメント

今回は「オートデスク幹部が語る、プラットフォーム戦略と顧客エンゲージメント」についてご紹介します。

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本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。


 Autodeskは「AutoCAD」をはじめとする設計ソフトウェアを開発販売する米国企業。来日した最高執行責任者(COO)のSteve Blum氏と最高顧客責任者(CCO)のElisabeth Zornes氏に同社の事業戦略を聞いた。

 取材に応じたBlum氏は、COOとしてセールス、マーケティング、カスタマーサクセス、デジタルプラットフォーム、顧客体験(CX)を担当するチームを統括。2003年に入社して以来、ビジネスモデルの転換などを推進してきた。一方のZornes氏は、CCOとしてコンサルティング、カスタマーサクセス、パートナーサクセス、製品サポートなど、顧客エンゲージメントのあらゆる側面を担当するグローバルチームを統括している。

 Blum氏はまず、同社の20年前を振り返った。「当時は売り切り型のパッケージソフトを販売し、利用期間の制限がない永久ライセンス方式をとっていた。これに年間保守契約である保守プランを加え、継続的に利益を生み出せるストック型ビジネスを取り入れた」

 およそ10年前にはクラウドへの移行を進め、サブスクリプションビジネスにかじを切る。「業界でも非常に早い段階で、クラウドベースの事業へと転換できたと思っている」(同氏)

 「今後はプラットフォーム戦略が重要になる」とBlum氏は語る。Autodeskは、2022年9月に「Autodesk Platform Services」(APS)を発表している。APS上では、建築・土木エンジニアリング・建設・運用業界向け「Autodesk Forma」、製品設計・製造業界向け「Autodesk Fusion」、メディア&エンターテインメント(M&E)業界向け「Autodesk Flow」という3つのインダストリー(業界別)クラウドを展開している。

 APSは、これらのインダストリークラウドや各種製品、ソリューション間でワークフローを連携させるためのツールやサービスを提供する。「特に現在のようにハイブリッドワークが働き方の一つとして定着してくると、クラウドでのデータ共有やコラボレーションがますます重要になる」(Blum氏)

 Zornes氏は同社の顧客エンゲージメントについて語った。「顧客がいったいどのようなアウトカム(成果)を望んでいるのかを日ごろから議論している」

 「(顧客が求めているのは)生産性を向上することかもしれないし、市場投入までの時間を短縮することかもしれない。それを基に、カスタマーサクセスプランを共同で作成し、顧客が成功を収められるようにサポートしている」(同氏)

 最近では、サステナビリティー(持続可能性)の実現に向けた支援にも力を入れている。例えば、建築物に使用される材料にどれくらいの炭素量が含まれるかを計算できるツールを開発提供している。建築家やエンジニア、協力会社はそのデータに基づいて、気候変動への影響が最も少ない材料を選択できる。

 また、同社が「ジェネレーティブデザイン」と呼ぶAI技術では、設計目標とともに機能、空間条件、材料、製造方法、コストの制約などのパラメーターを入力すると、それに沿った設計案が素早く生成される。これにより、建築物の二酸化炭素排出量を最小化するように設計を最適化することも可能だとする。

 トヨタ自動車では、未来の車に搭載されるシートフレームを先行開発するため、ジェネレーティブデザインを活用しているとのこと。車用シートは安全性や快適性のみならず、軽量性やデザイン性、サステナビリティーなども重視されるようになっている。そうした複雑な要件を満たすデザイン設計にAIを取り入れている。

 Zornes氏によると、電気自動車(EV)メーカーのRivian Automotiveでは、仮想空間上で車両設計することで開発期間を短縮させているという。実物大の模型を作成することもないため、材料の大幅な削減にもつながっている。

 最近は、さまざまなソフトウェアベンダーが自社の製品やサービスにAI機能を搭載する流れが加速している。Autodeskも例外ではなく、新しいAIガイド付きアシスタント「Autodesk Assistant」をベータ版で提供している。現在はAutoCADのほか、「Revit」「Civil 3D」で利用可能となっている。AIアシスタントと対話形式で製品関連の情報を検索したり、サポートケースを作成したりできる。今後、同社の全ポートフォリオに適用予定となっている。

 Blum氏は、日本市場について「非常に重要な市場であり、建設や製造、M&Eの業界で同社のソフトウェアが多く活用されている」と語った。さらに「特に製造業が非常に強く、(自社も)大きな投資を行っている領域だ」とした上で、日本企業が推進するデジタルトランスフォーメーション(DX)にも同社のオートメーションやコラボレーションなどの技術が有用だと強調。「Autodeskは、顧客のアウトカム達成を支援できる非常にユニークな立ち位置にある」とアピールした。

 一方で、日本の課題として人材不足や少子高齢化を挙げた。これらの問題に対して、同社は教育機関に無償ライセンスを提供することで、建築や設計に興味を持つ若者の育成に取り組んでいると述べた。「単純作業や繰り返し作業を自動化することで、創造性が必要な作業に集中できるようにするとともに、人手不足の問題を解決することも可能だ」(同氏)

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