AIを装備したエンタープライズアプリケーションは「特需」を生むか

今回は「AIを装備したエンタープライズアプリケーションは「特需」を生むか」についてご紹介します。

関連ワード (CIO/経営、松岡功の一言もの申す等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。

本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。


 統合基幹業務システム(ERP)や顧客関係管理システム(CRM)などのエンタープライズアプリケーションに、生成AIをはじめとしたAI機能を組み込む動きが活発化している。今後、果たして「特需」を生むのか。この分野をリードするOracle、SAP、Salesforce、Microsoftの取り組みから探ってみる。

 Oracleは先頃、生成AIを活用した「Oracle Cloud Infrastructure(OCI)Generative AI」サービスを提供開始した。大規模言語モデル(LLM)の「Cohere」と「Meta Llama 2」をシームレスに統合するフルマネージドサービスで、幅広いユースケースに対応していく構えだ(図1)。

 同社でOCIのAIおよびデータ管理を担当シニアバイスプレジデントのGreg Pavlik(グレッグ・パブリック)氏は同サービスの提供開始の発表に際し、「当社はAIの取り組みにおいて企業の幅広い採用に向け、実際のユースケースを解決することに注力している。そのために、生成AIをアプリケーションとコンバージドデータベースに統合し、テクノロジースタックの全てのレイヤーにAIを組み込み、新しいLLMとマネージドサービスを提供する」とコメントした(関連記事)。

 また、日本オラクル 取締役 執行役 社長の三澤智光氏は、2024年の年頭所感で次のように述べている。

 「当社ではSaaSアプリケーションとして『Oracle Fusion Cloud Applications』や『Oracle NetSuite』などを提供しており、定期的なアップデートを行うことでAIを含む新しいテクノロジーを利用できるようにしている。これにより、セキュリティの強化とパフォーマンス向上が実現されるだけでなく、常に最新のAI技術がビジネスプロセスに組み込まれる。従業員のエクスペリエンス向上を目指し、経営・財務報告の文書から原材料や品目、サプライヤーに関する文書、職務記述書まで、実用的なユースケースを提供することが可能になる」

 一方、「2024年は“ビジネスAI元年”になる」と意気込むのは、SAPだ。SAPジャパン 代表取締役社長の鈴木洋史氏は2024年の年頭所感で、「2024年はビジネスAI元年として、クラウドERPをはじめとするクラウド製品に生成AIを組み込むことで、真の意味で経営に役立つ機能を提供できるようになると考えている。SAPジャパンとしても、2023年に発表したクラウド製品のローカライズと施策の具体化に注力し、ビジネスAI活用の基盤固めを加速していきたい」と決意のほどを語った。

 「ビジネスAI」という言葉は、「基幹業務で使うAI」というトレンドと、ERPを含むSAPのアプリケーションでAIを生かす「SAP Business AI」という同社のソリューション名の両方の意味を込めたものだ。

 SAP Business AIは、「ビジネスAI元年」に向けて、SAPにおいて非常に重要な役割を担う取り組みだ。同社が2023年5月に発表したソリューションで、戦略的パートナーシップによってAIのオープンエコシステムを構築し、世の中にある優れたAI技術を積極的に取り込み、ユーザーニーズに応えることを目的としている。AIエコシステムのパートナーには、図2に示すようにグローバルで有力なAIプレーヤーが名を連ねている。SAPが同年9月に発表した独自の生成AIサービス「Joule(ジュール)」もSAP Business AIにおける1つのツールという位置付けである(関連記事)。

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