課題を言語化し変革を自走するコンサルティングに自信–Ridgelinezの今井CEO

今回は「課題を言語化し変革を自走するコンサルティングに自信–Ridgelinezの今井CEO」についてご紹介します。

関連ワード (CIO/経営、トップインタビュー等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。

本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。


 富士通グループのDXコンサルティングを担うRidgelinezは、2020年4月の設立から4年目を迎えた。2月には、富士通が本格的なコンサルティングビジネス「Uvance Wayfinders」を立ち上げ、Ridgelinezもその一翼を担う。一方で、CEO(最高経営責任者)の今井俊哉氏は、創業時から「カスタマーファースト」のコンサルティングにこだわる独自路線も貫く。今井氏に、富士通との関係や同社としてのコンサルティングビジネスの現在を聞いた。

–Ridgelinezのコンサルティングはどのような特徴ですか。

 われわれは日本企業の変革にフォーカスしています。なぜなら日本企業は、事業を取り巻くさまざまな制約から海外企業のような変革が難しい実態があり、その制約の中で変革を具体的に進めることに注力してきました。

 一般的に「DX」と呼ばれるもので、われわれは「顧客体験(CX)」「優れた経営(MX)」「卓越したオペレーション(OX)」「従業員の卓越性(EX)」と「技術的優秀性(TX)」の「4つのX」を重視しています。これがないと、組織の行動変容は難しいです。よく「マインドセットを変えよう」と言いますが、人の思考は可視化できません。しかし、行動をしたのか、していないのか、した結果はどうか――行動は追跡できます。われわれは、4つのXができるだけ同時に、整合性を伴って日本の組織が行動を変容できるように取り組みます。

 これは設計図のようなものですが、いざ組織のベテラン層の行動を変えるのは、なかなか大変です。そこでテクノロジーが必要になります。現在のテクノロジーは昔に比べてとてもユーザーフレンドリーになりました。例えば、20年前のAIは学術研究の世界でしたが、今は「ChatGPT」などで身近です。テクノロジーの力を借りて進化に乗り、「X(トランスメーション)」をしっかりやっていくというのがRidgelinezのスタイルです。

–設立1年目のインタビューでも同じように話していました。設立時から姿勢が一貫していますね。

 われわれがやることは変わりません。世の中が変わったから変えるのではなく、DXの状況を見れば、本来は企業が変革すべきところ、まだ変革できていないところが多くあります。われわれはまだ小さな企業ですから、変革を求めるお客さまに対応し切れていないこともあります。

 戦略からオペレーション、テクノロジーが山の稜線(りょうせん)を駆け上る――そのイメージが設立時から私の頭にあり、最近ではその角度がより垂直に近づいているとも感じます。大半のプロジェクトで、この3つが全て、あるいは2つが最初からプロジェクトに入るようになっています。テクノロジーもビジネスも結局は一緒になりますから、要はアジャイルなのです。ビジネスが分かる人がいて、テクノロジーを実装するから早くなります。ビジネスの要件が決まっていなければ、テクノロジーの開発をアジャイルにしてもプロジェクトは早くはなりません。

 われわれのお客さまは、課題に対する要件をきちんと言われ、われわれのコンサルタントが対応しながらテクノロジーの実装も進めてプロトタイプにまで持って行くので、とても早いです。特に意思決定にまつわるプロトタイプに限れば、3カ月で作ります

 ただ、データインテグリティーの問題(データの欠落)があります。これをきちんと整えようとすれば最低6カ月は必要です。つまり、それが出来上がった時点でデータは6カ月前のものであり、(鮮度のない)100%の精度のきちんとしたデータで分析をするのか、それとも精度が70~80%で雑音も混じっているデータを使って、AIなども使って補いながら分析、意思決定していくのか。お客さまに「どちらがいいですか?」と聞くと、ほとんどのお客さまは後者を選びます。データから見えるものが分かれば、次に向かう行動を起こすことができます。これは、従来とは大きく違う点です。

–DXが進み、企業は自身の課題を自ら具体化できるようになってきたのでしょうか。

 イエスともノーとも言えますね。イエスの点は、日本企業のITリテラシーが相対的に向上し、ツールも良くなっていることがあります。私は60代ですが、今は60代でもITなどの会話ができるようになってきています。例えば、マネジメントダッシュボードでさまざまなアウトプットを出せますが、画面を通じて一目で見られるのは、せいぜい4~5項目に過ぎません。ですから、まず「見たい画面はどれとどれですか?」と聞きます。最初はお客さまも悩みますから、そこでわれわれが「まず類似業界の例を見せますから確認してください」とプロトタイプをお見せします。かなりあいまいなデータであっても、それを見ればイメージが沸き、数字とグラフも付けてお見せすると、お客さまは「いいね。では、ここをこのようにに変えてほしい」と言われ、ダッシュボードで見たい項目がより明確になり、本当にしたいことが見えてきます。

 すると、その経過で課題もはっきりしてきます。必要なこととそうではないことが見えてきますから、投資すべきところが明確になります。これが大事です。これをできるかどうか、そして全社でできるかどうかが肝心なのです。変革において人は、納得感を伴わないと実行できません、納得してもらうためにデータや数字を見せて、「そうなのか」と納得してもらうことが重要です、そして、全社的、全部門的に実行します。一部だけでは、ほかは関係ないと他人事になります。ですから、われわれはお客さまに、やるべきことを明確にしたら全社で全部門で、集中して実行してもらいます。

 変革で大事なのは、取り組みを幾つもやらないことです。このためには課題の構造化、言語化が重要です。先ほど挙げたマネジメントのダッシュボードのように、ある程度見えるようになれば、お客さまはより明確にやりたいこと、やるべきことの課題がはっきりします。そうなれば、お客さまの思考が自走するようになり、変革の動きが進んでいきます。

 ただ、やはり変革しなければならない企業が多い状況は変わりません。Ridgelinezの創業時はコロナ禍でした。多くの企業は様子見をせざるを得ず、リモートワーク化などの手は打ちましたが、抜本的な変革に手を打った日本企業は海外に比べて少なかったでしょう。コロナ禍が過ぎ、日本銀行がゼロ金利政策を取りやめることにしましたから、日本企業の経営者は、自社の価値を向上させなければならないと、相当なプレッシャーに直面しているはずです。変革しなければ、これまでとは違う結果を得ることができないはずです。

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