富山県、生成AIとマルチモーダルAIの業務利用効果を検証
今回は「富山県、生成AIとマルチモーダルAIの業務利用効果を検証」についてご紹介します。
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富山県とインテック(富山市)は、県職員の業務における生成AIとマルチモーダルAIの利用効果を実証している。インテックが3月7日に、データの検索と活用での検証効果を発表した。
インテックによると、都道府県業務の書類や資料は、内容や形式、保管場所が多岐に渡り、数年ごとの人事異動で引き継ぎや業務知識の習得時間が確保しにくいため、担当者の業務負担が大きい。
富山県は、2023年度の地域課題解決実証実験プロジェクト「Digi-PoC TOYAMA」で、職員の効率化と働き方改革推進をテーマに設定。インテックによるマルチモーダルAIを活用した自治体業務書類のデータ化および生成AIを用いたデータ検索の業務への効果検証が採択され、2023年9月から2024年3月に実証実験を行った。
実証内容は、(1)書類のデータ化、(2)書類検索、(3)データ活用――の3つ。(1)では、業務効率化のユースケースを選定して対象書類のデータ化ができることを検証した。(2)では「広報情報・素材検索」と「マニュアル検索」の2つの用途を設定して、データ化した書類資料から目的の情報を検索できるかを検証した。(3)では、「YouTube」の公式チャンネルにおける告知用のシナリオ作成を検証した。
インテックが発表した2024年1月時点における成果の一部によると、(2)は、広報情報・素材検索について、約97%の割合で妥当なファイルを検索できることを確認した。具体的には、1回目の検索で回答を得たケースが61.3%、複数回の検索で得たケースが35.5%だった。ここでは、「利用者に特別なスキルが無くても、回答が分かりやすく、結果の合否を判別しやすい点が高い評価を得た。今後は紙文書スキャンデータの要約の利用などで副次的な効果が期待できることが検証できた」(インテック)と評価している。
(3)では、約86%の割合で、YouTube公式チャンネルでの告知に利用できるシナリオを作成できたとする。シナリオの検討と作成時間が大幅に削減され、複数のシナリオパターンを作成して利用者が選択、修正するなどの業務的、心理的負担の軽減が期待できるとしたほか、他部門への汎用的な展開も高く期待できるとする。「今後はシナリオ作成時の設定事項の運用を見直すことにより、統一感のある質の高いシナリオが期待できる」(同)としている。
今回の成果は、3月28日に富山市の県防災危機管理センターで開催されるDigi-PoC TOYAMAの成果報告会で発表されるという。