AIエージェントが人間のバディーに–アクセンチュア、2024年の技術トレンドを解説

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 アクセンチュアは5月27日、テクノロジートレンドの調査レポート「Technology Vision 2024」に関する記者説明会を開催した。2024年は「Human by Design-人間性を組み込む-」をテーマに、AIと人間の“共進化”に焦点を当てている。

 説明会に登壇したテクノロジー コンサルティング本部 インテリジェントソフトウェアエンジニアリングサービス グループ共同日本統括 マネジング・ディレクターの山根圭輔氏は冒頭、2019年の予想を振り返り「当初は人間とテクノロジーを融合させた『ヒューマン+』へ投資を拡大するべきだとしていたが、生成AIやLLM(大規模言語モデル)による斜め上の変化で、AIエージェントがテクノロジーによって“人間性”を獲得した、ある意味バディーになった」と説明する。

 テーマであるHuman by Designについて同氏は、「人間性を組み込む」のほかに「新たにデザインされた人間性」とも解釈できるという。前者は、従来のテクノロジーに生成AIを加えて、感情や意識といった人間性を組み込むことで、テクノロジーがより人間らしくなるということ。後者は、空間コンピューティングやヒューマンマシンインターフェースによって、人間の能力が拡張され、新たな人間性がデザインされることを指すという。

 これを「テクノロジーによるAIと人間の共進化」とし、山根氏はこの共進化が企業に及ぼす影響を見極めるための4つのトレンドを挙げた。

 1つ目のトレンドは「AIによる出会い:知識との関係の再構築」。これまでの情報検索の方法では、人間が検索エンジンにキーワードを入力し、情報を取得する「ライブラリアンモデル」が主流だったが、生成AIの登場により、AIとの対話を通して情報の検索を依頼する「アドバイザーモデル」へと変化した。このアドバイザーモデルを使ったビジネスは増加傾向にある。

 従来は、ユーザーが検索エンジンを介して情報を検索していたため、企業側は検索エンジンにデータを提供していた。これにより、検索エンジンがユーザーと企業のデータを掌握している状態だった。しかし、アドバイザーモデルへの変化により、各企業のAIエージェントがユーザーに情報を提供することで、企業が自社のデータや組織の知識に対するデータ主権を取り戻すことができる。さらに、優れたAIエージェントを持つ企業が、より多くのユーザーデータを受け取る時代になるという。

 各企業の知識を有効活用し、優れたAIエージェントを持つためには、LLMを差別化するためのアプローチが必要になると山根氏。例えば、独自LLMの開発やファインチューニング(微調整)、RAG(検索拡張生成)などが挙げられる。同時に、企業がデータ主権を取り戻すに当たっては、ハルシネーションや倫理違反、情報漏えい、著作権侵害といったリスクにも注意する必要があると指摘した。

 2つ目のトレンドは「自分専用エージェントとの出会い:自分のためのエコシステム」。AIは、さまざまなビジネスシーンで人間を支援する“アドバイザー”から、行動を伴い物理世界に影響を及ぼす“エージェント”に進化しているという。

 生成AIは単に作業を効率化する存在ではなく、人間の可能性を広げ、寄り添うパートナーになりつつある。例えば、生成AIを利用した逐次通訳やプログラミングの読解などは、人間の能力を強化・拡張することにつながる。

 また、人間とAIの相互学習も進んでいるという。Googleでは、ユーザーに解答を与えるだけでなく、解き方を教えて理解を促すAIモデル「LearnLM」をリリース。他方、AIロボットに人間の動き方を教えて、料理や掃除などの日常タスクを自律的に行う事例も出ているなど、AIは人間から学び、人間もAIから学ぶ世界が広がっている。

 しかし、米Accentureがグローバルで行った調査では、生成AIの活用に大きな障壁があると感じている経営幹部が少なくないという。一方で多くの従業員は生成AIを積極的に活用しており、経営幹部との温度差が明らかになった。

 アクセンチュアでは、生成AIの活用を日常化する取り組みとして、生成AIを利用した業務アプリを提供する「PeerWorker Platform」を立ち上げ、日本の全社員が生成AIを活用した業務効率を日々模索できるようにした。ほかにも、プログラミングを指導できるコーチAIを開発し、同社の新入社員の技術レベルの底上げにつなげたとしている。

 山根氏は「AIをパートナーとして捉え、価値創造に向けて共に学び、働くことがAIと人間の新しい向き合い方だ」と語る。そして、自分専用のAIエージェントとして生成AIで作成した「山根バディー」を披露。約2分間の本人動画から、画像や声などを生成AIによって作成したのだという。このデジタルバディーはデジタル上に構築されているため、空間コンピューティングで活躍できる。

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