HPEのネリCEO、「AIにはハイブリッドクラウドが必要」–NVIDIAと新ソリューション発表

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 Hewlett Packard Enterprise(HPE)は米国時間6月17~20日、ネバダ州ラスベガスで年次カンファレンス「HPE Discover 2024」を開催している。18日の基調講演では、2023年秋にオープンした球体型イベント会場「Sphere」を貸し切り、最高経営責任者(CEO)のAntonion Neri氏が、AI時代のビジョンとNVIDIAとの共同ソリューションを発表した。

 基調講演でNeri氏は、Sphereに集まった満員の観客を前に、「大きなモメンタムには、大きな会場が必要だ」と切り出した。Sphereで基調講演を行うのは、今回のHPEが初という。2024年のカンファレンスのテーマは「インテリジェンスに限界はない」というのもの。「人間の好奇心や探究心がAIを活用することで不可能が可能になる」とNeri氏は話す。

 Hewlett-Packard時代(PCなどのHPと分社する以前)から30年近く同社に勤務するNeri氏は、HPEの歴史をこう強調する。「80年以上前、Bill HewlettとDavid Packardは、オーディオ発振器で映画業界に変革を起こし、画期的な計算機で金融とエンジニアリングを変えた」(Neri氏)

 そして、「今日われわれは、世界最速のスーパーコンピューター『Frontier』により、ライフサイエンスを再構築している」と続け、「HPEは、一貫して企業や産業を変革するのに不可欠なテクノロジーを提供してきた。これまで達成した全てのことが今日につながっている」とし、生成AIが招く産業革命においても同社が重要なテクノロジープロバイダーになると述べた。

 「HPEには、包括的なAIソリューションがあり、規模に関わらずあらゆる企業の信頼できるAIパートナーになることができる」「企業がAIの潜在性と可能性に近づき、成長を遂げるためのソリューションを提供する」(Neri氏)

 では、HPEのAIへのアプローチはどのようなものか。

 Neri氏は、「AIにはハイブリッドクラウドが必要だ」と話す。AIを実装するためには、マイクロサービス、複数のAIモデル、専用のアクセラレーターなどを協調させ、さまざまなデータソースと接続する必要がある。これに加えて、データガバナンスや規制への順守、セキュリティなどの要件も満たさなければならない。

 Neri氏は、50%のCEOが1時間経過するとそのデータの価値がなくなると考えているのに対し、リアルタイムにデータにアクセスできると回答するITリーダーがわずか7%にとどまるというIDCの調査を紹介し、「明確な戦略なしに(AIは)成功しない」と述べる。

 HPEはここで、ハイブリッドクラウドでサーバー、ストレージ、ネットワークなどのハードウェア、サービスの「HPE GreenLake」などを持つ。まずネットワークだが。「生成AIは分散されたワークロードだ。データをコネクトすることが不可欠であり、エッジからクラウドまでしっかりしたネットワークの土台が必要だ」(Neri氏)とし、HPE Aruba Networingのポートフォリオを紹介した。なお、2024年のHPE Discoverは、初めてArubaの年次イベント「Aruba Atomosphere」も同時に開催された。

 Neri氏に寄れば、米国の農業組合のLand O ‘Lakesは、HPE Arubaを利用して屋内外に無線ネットワーク環境を構築し、乳製品の製造プロセス工場でインテリジェントエッジを活用することで、作業効率を大幅に改善したという。現在はAIを活用した農作物の収穫予測にも乗り出しているそうだ。

 ネットワークでは、2024年の初めにJuniper Networksを買収する計画を発表している。買収完了は2024年内から2025年の初頭を見込んでいるが、買収が完了すれば、「モダン、安全、AI主導のネットワーキングポートフォリオが完成する」とNeri氏は述べた。

 コンピューティングでNeri氏は、「HPE ProLiant」「HPE Cray」を挙げ、最新の半導体を取り入れながら高性能かつサステナブルなAIシステムを目指すとした。

 ストレージでは「HPE Alletra」を挙げ、個々のワークロードの要件を最適化するために独立した形でスケールアップ/ダウンが可能だとす。ソフトウェア定義により、パブリッククラウドに複製をとることができるなどの特徴を紹介した。「データ集約型のワークロードに対して高いパフォーマンスと効率性を実現する」(Neri氏)という。

 また、「HPE GreenLake for File Storage」や、先に発表したばかりの「HPE GreenLake for Block Storage for AWS」も挙げ、ハイブリッドクラウド環境でシームレスにブロックストレージを管理できるとした。

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