データ基盤でDXの本丸へ–テプコシステムズのアジャイル変革体験記(後編)
今回は「データ基盤でDXの本丸へ–テプコシステムズのアジャイル変革体験記(後編)」についてご紹介します。
関連ワード (CIO/経営等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。
本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。
東京電力(東電)グループは、2023年11月にデータプラットフォーム「TEPCO Data Hub」の第一弾サービスをローンチし、DXの取り組みを本格化させる。それをITで支えるのが、東電グループのテプコシステムズだ。アジャイル組織への変革の歩みを進める同社の取り組みを取締役 常務執行役員の沼田克彦氏とビジネスアジャイルセンター 副所長の望月大輔氏に聞いた。後編では、「TEPCO Data Hub」など大規模案件への対応における背景などを紹介する。(前編はこちら)
今では多くの企業が取り組むDXには、データを活用して予測が難しい変化への対応や新たな知見を手に入れるという「データドリブン」の要素がある。このためにさまざまなデータ基盤の整備が進むが、「TEPCO Data Hub」の特徴の1つは、電力会社ならではの制御系システム(以下、OT)などのデータも活用する点だ。一般的にITとOTをつなぐことは難易度が高いとされる。
沼田氏は、「一般的には電力制御の世界とITのシステムは全くの別物。だが、せっかく(OTの)データがあるのに活用しないのはもったいないといった話や、スマートメーター化などによる新たなデータの活用の可能性も出てきたことで、2018年頃から電力会社ならではのデータとさまざまなデータを掛け合わせて何か新しい価値を創造できるのではないかという発想も生まれていた」と話す。
前編で触れたように、テプコシステムズのアジャイル変革やDXの取り組みは、望月氏が立ち上げた「tepsys labs」を中心に行われ、多数のプロジェクト実績を蓄積していく。その多くは個別のユースケースや小規模なものという。一方、TEPCO Data Hubの開発と構築は、アジャイルとしては東電グループとして最大規模のプロジェクトになるといい、基幹システムなどOT側のリソースも含め、いかにしてグループ全体で推進するかがポイントになった。
例えば、時間軸の観点では、OTの基幹システム側の開発などは10年単位だが、IT側は長くても数年単位になり、時間に対する意識をOT、IT、ビジネス(事業部門など)それぞれの関係者の間でそろえる必要が出てくるだろう。
沼田氏は、「データ分析の基盤整備や目的別にデータを組み合わせるといったノウハウを積み重ねていた経緯もあり、従来の時間軸とは異なり、求められるスピードがだいぶ変わってきているという事実もある」と話す。
望月氏は、tepsys labsのリソースの制約からグループ各社の要請に応じきれないという課題に直面する中で、スクラムチームの拡大を検討していたという。「そのために体系立ったフレームワークを取り入れていく必要性を感じていた。アジャイルを推進するために、まず中規模プロジェクトにおけるガイドなどを活用して現場で学びつつも、より大規模な案件に取り組む上で知ったのが『Scaled Agile Framework(SAFe)』だった」