食品ロスをマインドセット転換とデジタル活用で防げ
今回は「食品ロスをマインドセット転換とデジタル活用で防げ」についてご紹介します。
関連ワード (CIO/経営、松岡功の一言もの申す等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。
本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。
消費者庁などが先頃、食品ロスについて新たな統計結果を公表した。2022年度の食品ロス量の推計値と、その推計値による経済損失および温室効果ガス排出量の推計結果を示した。それによると、ここ数年は関係各所の取り組みの強化により減少傾向にあるが、それでも「毎日、日本全体でおにぎり約1億個分のお金を失っている計算になる」とのことだ。私たちのマインドセットを変えるとともにデジタル技術をフル活用して、この問題に立ち向かうべきだ。
消費者庁が農林水産省、環境省と共に公表した2022年度の食品ロス量の推計値は、472万トン(前年度523万トン)。食品ロスとは、本来食べられるにもかかわらず捨てられてしまう食べ物のことだ。472万トンという量は、世界中で飢餓に苦しむ人々に向けた世界の食料支援量(2022年で年間480万トン)とほぼ同等に相当する。
472万トンのうち、食品関連事業者から発生する事業系食品ロス量は236万トン(前年度279万トン)、一般家庭から発生する家庭系食品ロス量も236万トン(同244万トン)となった。それぞれの内訳は図1の通りだ。
国際連合(国連)で2015年に採択されたSDGs(持続可能な開発目標)のターゲットの一つに、2030年までに小売・消費レベルにおける世界全体の一人当たりの食品廃棄物を半減させることが盛り込まれて以来、国際的にも食品ロス削減の機運が高まっている。日本においても食品ロス削減の取り組みを推進するため、2019年に食品ロス削減推進法が施行され、2020年には基本方針(食品ロスの削減に関する基本的な方針)が閣議決定された。こうした背景と共に新型コロナウイルスの感染拡大による市場の縮小などもあり、食品ロスは減少傾向にある。
ただ、食品ロスによる経済損失および温室効果ガス排出量の推計結果を見ると、この問題はまだまだ深刻な状況にあることが分かる。食品ロスによる経済損失の合計は、2022年度の食品ロス量の推計値(472万トン)を基に推計したところ、4兆円となった。また、食品ロスによる温室効果ガス排出量の合計は、1046t-CO2となった。
この推計値を国民一人当たりに換算すると、経済損失は1日に88円。先述したように、毎日、日本全体でおにぎり約1億個分のお金を失っている計算になる。また、食品ロス削減による二酸化炭素(CO2)削減効果のイメージは、「食品ロスを8%減らすと、エアコン設定温度を1度変更するのと同等の効果がある」という(図2)。
では、どうすれば食品ロスをさらに減らすことができるか。筆者はマインドセットの転換とデジタル技術の活用を訴求したい。