API管理基盤のKong、AIやエンタープライズサービス、日本事業の展開を強化

今回は「API管理基盤のKong、AIやエンタープライズサービス、日本事業の展開を強化」についてご紹介します。

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 API管理基盤を手掛ける米Kongは、AI領域への対応やエンタープライズサービス、日本市場でのビジネス展開を強化する。プロダクトマネージメント担当シニアバイスプレジデントを務めるReza Shafii(レザ・シャフィー)氏がZDNET Japanとのインタビューで明らかにした。

 Kongは2017年に創業し、米国サンフランシスコに本拠を置く。共同創業者で最高経営責任者(CEO)のAugusto Marietti氏が、2009年に立ち上げたMashapeに原点があるといい、MashapeはAPIの可能性をかけてAPIマーケットプレースの事業を立ち上げたが時期尚早だったそうで、2015年に会社を閉じた。Marietti氏は、Mashapeで開発し社内で運用していたAPIゲートウェイをオープンソースソフトウェア(OSS)として公開し、この有償サポートなどを提供する企業としてKongを設立した。

 APIゲートウェイ製品は、クラウド系を含む多くの大手ITベンダーも提供しているが、KongはOSSとして人気を博す。APIゲートウェイの「Kong Gateway」やサービス接続管理基盤の「Kong Connect」などがコミュニティーで開発され、サードパーティーも開発、提供するプラグインを活用して、ユーザーが機能を柔軟に拡張できる特徴が支持されている。Shafii氏によれば、オープンソース版のユーザーは3万5000組織以上、1日当たりのAPIコール数は15兆回以上にもなるという。

 同社では、機能強化版のプラグイン(アドバンストプラグイン)や有償サポートなどのAPI管理基盤製品「Kong Enterprise」を提供。Kong Enterpriseのユーザーはグローバルで約800組織、日本ではLINEヤフーなど15組織という。日本市場では、2023年11月にジャパン・クラウド・コンサルティングと合弁で日本法人を立ち上げており、同社コンサルティングチーム ディレクターの鶴原鉄平氏が、Kong日本法人 ジャパン マネージングディレクターを兼務している。

 Shafii氏は、「APIはもはや企業のビジネスにおいてミッションクリティカルに位置付けられる存在だ」と述べる。APIは、まずモバイルアプリケーションとウェブアプリケーションをつなぐ手段として注目され、RESTなどの標準的な方式が整備されたことで本格的な普及が始まり、現在ではコンテナーやマイクロサービスなどモダンなシステムで必須の連携方法となっている。

 「APIが当り前になり、APIが急増するにつれてガバナンスやトラフィック、セキュリティ、コストなどを一元的に管理する必要性が高まり、APIプラットフォームが求められるようになった。これにより組織としてAPIを適切に管理しながら、同時に開発者の生産性向上も図ることができる」(Shafii氏)

 組織でのAPIの利用が高度化、複雑化していることから、同社のビジネスではKong Enterpriseのユーザーの獲得拡大と機能価値の向上が重要なテーマになっているという。特に機能強化でフォーカスを当てるのが、生成AIなどへの対応だ。

 Shafii氏は、「APIなくしてAIは存在し得ない」と言い切る。特に生成APIは、大規模言語モデル(LLM)に学習データを送信したり、LLMとアプリで生成したりする際にほぼAPIが利用されている。生成AIの利用が拡大し続けているだけに、同氏は「複数のLLMや生成AIサービスを組み合わせて使うようになる」として、API管理基盤もより必須になると見ている。

 Kongは、生成API向けのアドバンストプラグインとして、PathなどAPIリクエストの一部を変更するだけでAIを切替える「AI Proxy」や、記載してはいけない文言を含むプロンプトにエラーを返す「AI Prompt Guard」、AI利用での資格情報をゲートウェイで管理する「AI Credentials」などの提供を開始しており、これらはKong Gateway上で動作する「Kong AI Gateway」としてラインアップをしている。

 Shafii氏は、今後さらにKong AI Gatewayのアドバンストプラグインを拡充し、2024年夏にトークンベースで流量を制限できる「AI Rate Limiting」や、プロンプトの内容が同一の場合にキャッシュで回答する「Semantic Cashing」、どのユーザーがどのAIを使用したのかを記録する「AI Logging」などを追加する予定だとし、時期は未定ながら、これらのアドバンストプラグイン群をパッケージでも提供する計画だとした。

 また、Kongの各種プラットフォームでも生成AIのコパイロット機能をベータ版として提供を開始しており、APIの管理をより容易かつ効率的に行えるようにしていくという。

 APIのユースケースは広がる一方で、鶴原氏によれば、現在の日本市場では、例えば、受発注と在庫管理のデータ連携といったバックオフィス業務でのシステムやデータの接続用途に関する問い合わせが多い。また、コネクテッドカーにおけるサービスやデータの接続といった新しいユースケースも注目している。

 Shafii氏も「バックエンドシステムにおいては大きな変化が起きている。10年前はSAP専用のコネクターといったものを使用していたが、現在はRESTやgRPC、GraphQLといった標準化されたAPIで統合するようになった。繰り返すが、標準化されたAPIの存在が大きな変化をもたらしており、APIの管理は今後ますます重要性を帯びるようになる」と話す。

 鶴原氏は、「Kongとしても、まず北米で、次に欧州、シンガポール(アジア)にビジネスを拡大し、日本で本格的に展開するフェーズ」とアピールする。多くの日本企業がDXを通じてデジタルビジネスを拡大させ、クラウドネイティブなシステム、データの採用を広げつつある中で高まるAPI管理のニーズに期待を寄せているという。

 「(Fintechなどにおける)APIへの関心の高まりを経て、AIによりAPIへの期待が一段を増す。(Kongにとって将来の顧客と期待する)日本の企業も準備ができているだろう。Kongは日本市場にコミットし、まさに今、日本で本当に成長していくために投資する最適なタイミングになる」とShafii氏。また、API開発のテストといった領域でもソリューションを拡充していく計画だとしている。

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