NEC、2024年度第1四半期決算は減収増益–「BluStellar」は最初の“通信簿”

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 NECは7月30日、2024年度第1四半期(2024年4~6月)の連結業績を発表し、国内ITサービスの好調ぶりが際立つ内容となった。全体の業績は、売上収益が前年同期比2.3%減の6902億円、調整後営業利益が前年同期の4億円から126億円になったほか、同社が「根源的な事業の業績を示す」と位置付けるNon-GAAP営業利益は前年同期の5億円から162億円に拡大。Non-GAAP当期利益は前年同期のマイナス13億円の赤字から105億円の黒字に転換した。

 今四半期の減収は、日本航空電子工業の非連結化が影響したもので、ITサービスおよび社会インフラともに、増収増益という結果になっている。好調な業績を支えているのは、国内ITサービス市場における旺盛な需要だ。

 国内ITサービスの売上収益は、前年同期比6.2%増の3401億円、調整後営業利益が7億円減の102億円となった。国内ITサービスの減益は、数字の上では気になるところだが、取締役 代表執行役Corporate EVP 兼 CFOの藤川修氏は、「国内の構造改革費用や一時的な費用増が影響したもので、通期の増収増益の計画には変更がない」とする。

 NECは、今回からセグメント別業績の算定方法の一部を変更し、新たな通期見通しを発表したが、国内ITサービスの売上収益は前年比2.3%増の1兆6500億円、調整後営業利益は29億円増の1680億円と、増収増益の計画を維持する。

 国内ITサービスの強気の姿勢は、今四半期の実績や通期見通しの数字よりも好調な受注状況が色濃く影響している。第1四半期の受注は前年同期比13%増となり、変動要素が大きいNECファシリティーズを除くと、同15%%増と力強いものになっている。

 これを業種別で見ると、中でも高い成長を見せているのが「パブリック」であり、前年同期比32%増と大きな伸びとなっている藤川氏は、「中央官庁の大型案件の獲得に加え、自治体標準化案件の増加により大幅に増加した。だが、今回獲得した大型案件を除いても、前年同期比で10%強増加している。パブリックは第2四半期以降も10%強の傾向が続いていくと見ている」と、前年実績を大きく上回る受注が継続すると予測する。

 また、「エンタープライズ」は、前年同期比2%増の状況だが、「前年同期が高い実績で、その水準を維持しているという点では評価できる数字」(藤川氏)と捉える。エンタープライズのうち、金融は7%減、製造が13%増、流通・サービスが10%増と、受注状況にバラツキが見られるが、「金融は前年度に勘定系の大型案件の反動があり、マイナスになっている。これを除くと前年同期比2桁伸長となっており、好調を維持している」と藤川氏は説明。「製造ではDX関連案件が増加したほか、選択受注により利益率の高い案件にシフトした効果がある。流通・サービスは大型案件の獲得もあり、好調を維持している。さらに、アビームコンサルティングの受注額は19%増で、新たなDX案件の獲得でも成果がある」と述べた。

 その上で、「ITサービスは全体的に旺盛な需要が継続し、足元での受注環境は好調。年間目標の達成に向けて着実に案件を積み上げている。国内ITサービスの受注残も前年同期比4%増で、今後に向けてもネガティブな要素はなく心配もない」と断言した。

 気になる数字を挙げると、国内ITサービスの調整後営業利益率が第1四半期実績として前年同期比で0.4ポイント悪化し、3.0%にとどまっているという点だ。

 下期偏重のNECにとって、第1四半期の実績は参考値程度と捉えることもできるが、今回のセグメント別算定方法で新たに設定された通期の調整後営業利益率は10.2%と、前年実績からは横ばいで、この数字をボトムに上回ることを目指すという。だが、その計画から見れば、前年実績を下回る3.0%という水準は、厳しいスタートだと言わざるを得ない。

 この点について藤川氏は、「第1四半期は構造改革費用などの特別要因があり、これを除くと30億円強の上積みができる。また、AIスーパーコンピューターへの開発投資を進めていることも影響している。2023年に発表した生成AIが好感触であり、そこに向けて開発環境を含めた戦略投資を行っている。さらに前年同期の国内ITサービスで高利益率の案件があった反動になっている。これらを勘案すれば、前年同期から1%弱ほど改善している」と、実質的には好調な出足であることを強調した。

 通期目標の調整後営業利益率10.2%達成に向けて、決して悪いくはない出足というのが、NECの見解である。

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