オートデスク、BIMツール向け構造用ファミリ公開–建設会社と免震装置メーカーが協力

今回は「オートデスク、BIMツール向け構造用ファミリ公開–建設会社と免震装置メーカーが協力」についてご紹介します。

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本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。


 オートデスクは、免震装置メーカーのオイレス工業とブリヂストン、建設会社の大林組、鹿島建設、清水建設、大成建設、竹中工務店の協力のもと、ビルディングインフォメーションモデリング(BIM)ツール「Autodesk Revit」(Revit)向け構造用ファミリとして、新たに構造系の免震装置ファミリを公開したと発表した。免震装置とは、建物の下などに配置することで建物に伝わる揺れを軽減する部品。

 これまで設計業務では、設計事務所や建設会社が異なるソフトウェアや独自のルールでデータを作成しており、各部材のモデルに含まれる属性データが異なることで、設計、生産、施工、維持管理などの各プロセスでデータの連携や活用に支障が生じるケースが多々あった。

 例えば柱のパラメーターを定義する際、建設会社A社は「幅」「高さ」、建設会社B社は「B」「D」とするなど、同じ意味のパラメーターにもかかわらず名称が異なるケースがある。その場合、データの受け渡しには「幅=B」「高さ=D」とするマッピングが必要となる。

 そこで大林組、清水建設、大成建設は2016年、Revitによる設計施工の効率的な業務プロセスの構築を目指した「BIM Summit」を発足し、その中で組織された「BIM Summit 構造分科会」で構造設計用Revitファミリの整備に向けた活動を行ってきた。

 同分科会では、2018年12月から共同整備した鉄骨構造用ファミリを提供し、2019年6月に鉄骨構造系部材ファミリを拡充。2020年7月には鹿島建設も参画し、鉄筋コンクリート(RC)構造系の柱/梁(はり)ファミリ、2022年2月には竹中工務店も参画して基礎/杭ファミリ、壁と床のパラメーターを発表した。2024年1月には、中高層木造建築の普及・拡大に対応して木造のファミリを追加した。

 今回提供を開始する免震装置のファミリは、免震装置メーカーであるオイレス工業とブリヂストンの協力のもと、免震建物の設計においてニーズの高い天然ゴム系積層ゴム、鉛プラグ入り積層ゴム、高減衰積層ゴムを共同整備した。

 従来、免震建物を設計する際、設計者はメーカーからカタログやコンピュータ支援設計(CAD)データを取り寄せ、自前でファミリを作成していた。メーカーから製品のファミリが提供されても、設計符号の管理や型番の選択、配置の方法などが設計者の利用方法に合っておらず、設計フローに沿った使い方ができなかったという。

 そこで今回、設計者とメーカーの双方が利用・整備しやすいよう、入れ子構成の免震装置ファミリを整備。設計者が直接編集を行うホストファミリ(親ファミリ)では設計符号や型番などの設計情報、メーカーが整備するファミリ(子ファミリ)ではゴム径やせん断弾性係数など装置の詳細な情報を含んでいる(図1)。

 親ファミリはBIM Summit 構造分科会、子ファミリは同分科会監修のもと、各メーカーが作成している。親ファミリと手順書はオートデスクの公式ウェブサイト、子ファミリはメーカーのウェブサイトで公開する。弾性すべり支承などの免震装置は今後順次整備し、公開する予定だという。

 免震装置のファミリは、これまでのファミリと同様に生産・施工に必要な設計データの種類について、異なる組織間でも円滑に利用できるように整備を行い、パラメーターを使用した効率的な構造設計が可能となっている。これにより、設計情報を生産工程で利用でき、複数の組織間や業務プロセスをまたいだ生産性向上が期待される。

 オートデスクと建設会社5社は、Revit向け構造用ファミリの国内整備を進め、日本建築構造技術者協会(JSCA)、BIMライブラリ技術研究組合(BLCJ)、building SMART Japan(bSJ)などの構造系BIMを検討する団体にも提案する。設計事務所やほかの建設会社などにも利用を働きかけ、業界全体における業務効率の向上に取り組むとしている。

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