パナソニックHDの玉置CIOに聞く、パナソニックDX戦略の4年間と今後

今回は「パナソニックHDの玉置CIOに聞く、パナソニックDX戦略の4年間と今後」についてご紹介します。

関連ワード (CIO/経営等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。

本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。


 パナソニックグループが取り組むDX戦略の「PX(Panasonic Transformation)」が、2021年7月にスタートしてから4年目に入った。同グループは、長期環境ビジョン「Panasonic GREEN IMPACT(PGI)」と「PX」を企業変革の2本柱に位置付け、環境に貢献し、くらしに寄り添う企業を目指している。

 パナソニックホールディングス 執行役員 グループCIO(最高情報責任者)の玉置肇氏は、「パナソニックグループが、くらしに寄り添う企業になるには、データの活用が大きな役割を果たす。2025年から『PX2.0』という新たなフェーズに入り、データを活用して商売を作り変え、新たなビジネスに挑む」と意気込む。「PXの3年間の成果は100点満点で10点」と厳しい自己評価ながら、次の一手には十分な手応えを持っていそうだ。PXの取り組みを追った。

 玉置氏は、「パナソニックグループがポートフォリオを柔軟に変え、成長に対するがい然性のある事業戦略を推進していくためには、足もとの業務プロセスや意思決定プロセス、企業カルチャー、マインドセット、働き方をアップデートし、変革していかなくてはならない。PXがその役割を担う」と話す。

 PX1年目の2021年度を「変革の立ち上げ」とし、グループCEO(最高経営責任者)の楠見雄規氏がPXの始動を宣言。各事業のDX支援とグループ全体のIT経営基盤の底上げを推進した。「それまでデジタル活用によるプロセス変革をできていなかったが、情報システムを変えるだけではDXは失敗する。SAPの移行プロジェクトで失敗する企業に共通しているのは、複雑性をそのままにして移行している点。商慣習や契約形態を含めた全社プロセス、組織やカルチャー、マインド、上司と部下の関係などの組織風土も変えなくてはならない。プロジェクト名にデジタルやITという言葉を使わずPXとした狙いはそこにある」と述べる。

 2年目の2022年度は、「変革の波を拡大する時期」と位置付けたが、玉置氏は「本音でいえば軌道修正の1年」と明かす。さまざまな施策を打ち出したが、浸透に時間を要して停滞気味となったPXによる変革を加速すべく、役員全員参加の合宿を通じて「PX:7つの原則」を制定。全員が「経営陣の約束」としてこれにコミットした。ここでは、「経営者がデータの利活用と業務プロセスに責任を持つ」「業務プロセスを絶えず進化させ競争力の源泉とする」ことなどを盛り込み、プロセス・データ・人材にフォーカスした経営を明確に打ち出した。

 3年目となる2023年度は、PX:7つの原則を軸に「PX-AI」の全社導入や、プロセスオーナー基本規程の公布、PXアンバサダー制度の開始などにも取り組んだ。これまでに12事業会社と35回にわたるCIOフォーラムを社内で開催し、166の重要テーマを議論。その内容を基に、2023年度は年間14回にわたって経営会議に上程したほか、PXのポータルサイトを開設したり、PXニュースレター(毎月発行)を35回配信したりと、グループ内の啓発活動にも注力した。2024年度は現場PXコンテストを開催。社内から550件のPX案件の応募があり、優秀事例を表彰。最優秀事例に賞金100万円を贈呈したという。

 また、プロセスオーナー制度により各事業会社や間接部門の業務プロセス変革を推進し、この成果を賞与の評価にも反映した。ビジネスフローや業務刷新による経営効率の向上で成果が生まれている。PXアンバサダーはグループ変革人材と位置付け、情報システム部門以外の社員を対象に募集し、現在56人が登録する。現場DXの推進や社内の困りごと対応などをしている。ITプロフェッショナル人材の育成は、12分類のIT人材類型に基づき、4181人のグローバルIT要員を可視化した。ワークスタイル変革では「アジャイル実践塾・道場」に84人が参加し、121人が「TMS」検定や「スクラムマスター」認定の資格を取得しているという。

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