F1がAI活用で強化する、レースの運用効率と持続可能性向上の取り組み
今回は「F1がAI活用で強化する、レースの運用効率と持続可能性向上の取り組み」についてご紹介します。
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本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。
自動車レース「Formula 1」(F1)がデータと人工知能(AI)の活用を始めた目的は、燃料を燃やすことで知られるこのスポーツの運用効率の向上を達成し、その結果として持続可能性を高めることだった。
F1のESG(環境・社会・企業統治)レポートによると、実際に二酸化炭素(CO2)排出量を2018年から13%削減しており、2030年までのネットゼロ実現の目標を達成できる見込みだという。F1の持続可能性への取り組みには、オーストラリアグランプリで展開したエネルギーパイロットプログラムがあり、このプログラムによって、ピットレーン、パドック、放送設備での排出量を90%以上削減した。英国グランプリでも環境に配慮した代替エネルギーが採用され、すべての臨時発電機で2746枚のソーラーパネルと水素化植物油燃料が使用された。
F1は運営の最適化と輸送貨物の削減によってCO2排出量を削減する方法を常に模索している、とF1のIT担当ディレクターであるChris Roberts氏は語る。
例えば、ITインフラストラクチャーの大部分を英国からリモートで実行できるようにしている。より効率的なシステムを使用することで、トラック40台分のサーバーをサーキットからサーキットへ輸送する必要がなくなり、F1が環境に及ぼす影響を軽減できた、とRoberts氏はシンガポールグランプリの会場で米ZDNETに語った(このレースではMcLaren Formula 1のLando Norris選手が優勝している)。
それは、持続可能性を高める適切なテクノロジーとシステムを調達するということでもある、とRoberts氏はLenovo幹部とのメディアブリーフィングで述べた。Lenovoは9月、F1と複数年契約を締結し、モバイルデバイス、高性能コンピューティングシステム、バックエンドサーバーなどの製品やサービスを提供するグローバルパートナーシップをさらに拡大した。
Roberts氏によると、F1はこのパートナーシップによってすでに800台以上のデバイスをリサイクルまたは再利用したという。同氏はまた、古いハードウェアの95%以上がリサイクルされたとしている。
「将来的には、AIによる予測分析を使用して資産回収の効率をさらに高めて、マシンをリサイクルまたは再利用する時期を予測できるようにしていきたい」(Roberts氏)
F1はAI搭載デバイスを現場に展開し始めており、このテクノロジーと収集したデータを併せて使用して、ファンのユーザー体験向上につながる洞察を導き出したい、とRoberts氏は述べた。
レースウィークエンド中にF1が処理するデータは500TBを超える。2024年には、24のレースが40週にわたって開催される予定だ。
F1とそのファンにとって最高の価値を実現する目的で、AI対応のパーソナルコンピューターなど、テクノロジースタック全体でAIの活用が増加するだろう、と同氏は付け加えた。F1には全世界に7億人以上のファンがいる。
AIの未来は「ハイブリッドAI」だ、とLenovo アジア太平洋地域担当バイスプレジデント兼ゼネラルマネージャーのMatt Codrington氏は語る。ハイブリッドAIとは、オンプレミスか、クラウドか、エッジデバイス(モバイルデバイスやデスクトップデバイスなど)かを問わず、必要な場所にテクノロジーが提供されるものだという。
つまり、組織のユースケースとデータ管理によって、AIの機能を展開する場所とその方法が決まる、とCodrington氏は述べた。その際には、セキュリティ、コスト、可用性といった重要な要素を考慮に入れることになる。