富士通と森永乳業、原材料の価格変動などを予測する基盤開発–意思決定の迅速化へ
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富士通は10月30日、森永乳業と共同で、環境変化や社会情勢などに起因する原材料の価格変動や為替変動が事業損益や経営に与える影響について、さまざまな状況を想定したシミュレーションが可能な意思決定基盤を開発したと発表した。同システムは、8月から森永乳業で稼働している。
同システムには、富士通の食品業界などへの30年以上にわたるプランニング業務高度化に関する導入実績と、計画立案や分析に特化したオファリング「Fujitsu Manufacturing Supply Chain Planning」を活用している。
森永乳業は従来、国内23工場で取り扱う数百以上の取引先情報と製品情報を人手で複数組織にまたがって収集・集計していた。同社はこの作業を効率化し、原材料の価格変動の経営に対する影響を早期に可視化することで、意思決定の迅速化を図る。両社は、約2カ月の試験運用を通して、同システムの作業効率改善や業務標準化に関する効果を確認している。
最近の食品製造業界は、気候変動や自然災害、グローバルでの需給や為替変動による原材料価格の高騰などの影響を強く受けており、森永乳業はDXを進めることで経営基盤の強化を目指してきた。
Fujitsu Manufacturing Supply Chain Planningは、富士通が30年以上にわたってさまざまな業種・業務向けにシステムを提供する中で培った業種/業務プロセス、データ、アルゴリズム、商慣習、システムアーキテクチャーに関する理解を生かしたプランニングシミュレーション基盤。
森永乳業に提供したシステムでは、原材料価格変動による損益への影響把握、分析にかかる時間を大幅に削減し、変化への対応力を高める。多様な状況を考慮したシミュレーション機能により、将来的な拡張にも対応する販売・調達計画の立案といった高度な業務への移行を支援し、コストの最適化に貢献するという。
富士通は、今後も森永乳業の取り組みを支援するとともに、Fujitsu Manufacturing Supply Chain Planningを通して、顧客の高度な経営の意思決定に貢献するとしている。富士通は、予算・販売需給計画を統合的に管理するテンプレートを10月1日から製造業向けに提供しており、需要変動への迅速な対応や在庫最適化を目指す企業への提供を予定している。