NEC森田社長が明言した「AIエージェントの業績への貢献」

今回は「NEC森田社長が明言した「AIエージェントの業績への貢献」」についてご紹介します。

関連ワード (CIO/経営、松岡功の「今週の明言」等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。

本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。


 本連載「松岡功の『今週の明言』」では毎週、ICT業界のキーパーソンたちが記者会見やイベントなどで明言した言葉を幾つか取り上げ、その意味や背景などを解説している。

 今回は、NEC 取締役 代表執行役社長 兼CEOの森田隆之氏と、BIPROGY 代表取締役社長CEOの齊藤昇氏の「明言」を紹介する。

 NECの森田氏は、同社が先頃開いた決算発表会見の質疑応答で、生成AIに続いてホットな話題となっている「AIエージェント」について「コスト削減や売り上げ拡大に寄与すると考えているか」と問われ、上記のように答えた。「コスト削減にも売り上げ拡大にも」との表現が、同氏の見立てとともに期待を端的に表していると感じたので、明言として取り上げた。

 森田氏はNECにおけるAIエージェントの取り組みについて、「AIエージェントについては3年ほど前から『AIオーケストレーター』という名称で技術の開発および実用化に向けて取り組んでいる。適用領域としては、SI(システムインテグレーション)やCX(カスタマーエクスペリエンス)に注目しており、これらの領域でのAIエージェントの活用は将来的に当たり前のものになっていくだろう。また、当社の事業で言えば、さまざまなソフトウェアやサービスと連携することで非常に有力なソリューションになると考えている」と述べた。

 NECは「AIオーケストレーター」をサービスとしてまだ商品化していないが、2023年12月15日に同社の研究開発の最新情報を投資家およびメディア向けに披露したプライベートイベント「NEC Innovation Day 2023」では、AIのオーケストレーション機能として「各種業務をタスク分解し、自律的にAIモデルの配置や連携、ネットワークやセキュリティ制御を行い、実世界の多様な業務を自動化する」ことを目指すと説明していた(表1)。
(表1)NECが目指す新たなAIアーキテクチャーにおける5つの重要なポイント(出典:NECの2023年12月15日会見資料)

 なお、同イベントにおいて筆者が注目したポイントについては、本サイトでの筆者のもう1つの連載「一言もの申す」の2023年12月28日掲載記事「生成AIは世の中にどう浸透していくか—NECの取り組みから探る」をご覧いただきたい。

 では、AIオーケストレーターの具体的な内容が明らかになるのはいつか。森田氏によると、11月27日に開催予定の「NEC Innovation Day 2024」で公表するとのことで、要注目だ。

 AIエージェントは生成AIと同様、これから非常に重要なキーワードになっていきそうなので、これまでさまざまなキーパーソンに取材してきた中で、筆者が最も印象深かったコメントを以下に紹介しておこう。

 「企業のAI活用は、対話型アシスタントの生成AIから自律的に動くAIエージェントへと広がっていく。これに伴い、AIはこれまで『使う』ものだったが、これからは『雇う』という捉え方も広がるだろう」

 そうなると、世の中はどうなっていくのかとの論議もこれからますます活発になっていくだろう。

 最後に、森田氏の冒頭の発言に戻ると、実は「AIが本当に企業の業績に寄与するのか」と懐疑的に見る向きもある。筆者が懸念するのは、寄与はするだろうが、それがはっきりと目に見えるようになるまでには意外に時間がかかるのではないか、ということだ。

 そうしたリスクも踏まえながら、NECのAIエージェントの動向に注目していきたい。

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