端末の適正な処分方法を半数の教育関係者が把握不足–GIGA端末処分の意識調査
今回は「端末の適正な処分方法を半数の教育関係者が把握不足–GIGA端末処分の意識調査」についてご紹介します。
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児童生徒のデータプライバシー協会は3月6日、「GIGAスクール端末処分に対する意識調査」の結果を発表した。
同調査は、2025年以降にGIGA端末の処分件数がピークを迎えるに当たり、データ漏えいを1件も起こさない処分の実現や適正な処分・データ消去の実行に向けて、全国の自治体で教育関連業務に携わる教育関係者を対象に実施した。実施時期は2月で、サンプル数は117になる。
「GIGAスクール構想」の開始に伴い、2019年から児童・生徒に対して1人1台端末が整備され、2025~2026年にかけては約950万台の端末更新が予定されている。調査によると、教育関係者の約2人に1人が、自身が携わる教育現場のGIGA端末の処分方法を把握していないという。
「ご自身が携わっている教育現場でのGIGA端末処分方法をご存じですか」という問いに対して、「知らないが、把握する必要があると思っている」(35%)、「知らない、かつ把握する必要はないと思っている」(12%)と、47%が端末の処分方法を知らないと回答している。
2024年1月に文部科学省が改訂した「教育情報セキュリティポリシーに関するガイドライン」では、端末の処分時の適正なデータ消去は専用ソフトを用いて行うなどの規定を定め、また適正な処分には「小型家電リサイクル法」認定事業者への委託が必須となっている。
しかし、「GIGA端末処理において、小型家電リサイクル法認定事業者をご存じですか」という質問では、「知っていて、既に自治体のパソコン回収で活用している」と回答した教育関係者はわずか17.1%だった。
認定事業者の活用を考えていない理由として、「小型家電リサイクル法認定事業者の存在を知らなかったから」(29.4%)が最も多く、以下「認定事業者を活用するための手続き方法が分からないから」(25%)、「認定事業者に依頼したいが、手続きが面倒、または費用がかかるから」(23.5%)などが挙げられた。
環境省は2024年5月から自治体に小型家電リサイクル法での処理を周知するほか、教育委員会向けに小型家電リサイクル法に基づく処分に関する説明会などを実施している。しかし、処分計画を作り終えていない自治体も多く、認知度や利用率が十分に高まっていないと同協会は指摘する。
調査では、教育関係者が把握していないGIGA端末内のデータの種類も確認している。最多は「いじめアプリなど個人のセンシティブなデータ」(67.5%)で、以下「校内ネットワーク接続情報(ID、パスワードなど)」(53%)、「学習データ(授業で使用するファイルなど)」(35.9%)、「写真データ(位置情報を含む)」(34.2%)が続いた。
同協会は、写真撮影には位置情報など、個人を特定する可能性が含まれているデータといえ、適切なデータ消去が必要になると説明。また、児童・生徒の特定リスクになり得るデータとしては氏名や住所などの個人情報に次ぎ、写真やテストの成績が該当するとしている。同協会は、今回の調査で、教育関係者のGIGA端末に含まれるデータに関する意識が十分とは言えない状況であると指摘する。
児童生徒のデータプライバシー協会は2025年1月31日に設立されたばかりの団体で、GIGAスクール端末更新に伴い、適正な端末処分やデータ消去を普及させることで、生徒のデータプライバシーを保護するとしている。