創造性は代替されない–オートデスク幹部に聞く、AI時代のエンタメ産業

今回は「創造性は代替されない–オートデスク幹部に聞く、AI時代のエンタメ産業」についてご紹介します。

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本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。


 米Autodeskは、3次元(3D)技術を活用し、デザイン・設計、エンジニアリング、エンターテインメントなど、多種多様な用途のソフトウェアを展開している。顧客との関係構築に当たり来日したエンターテインメント&メディアソリューション担当エグゼクティブバイスプレジデント(EVP)のDiana Colella氏に、メディア・エンターテインメント(M&E)領域における同社の戦略やAIの役割、日本における同領域の発展に貢献できることを聞いた。

 Autodeskは、M&E領域においてゲームやアニメーションの制作会社に製品を提供しており、日本の顧客企業には『ファイナルファンタジー』シリーズなどを手掛けるスクウェア・エニックス、『ゴジラ -1.0』などを制作した白組、『グランブルーファンタジー』シリーズなどを手掛けるCygamesらが名を連ねる。

 同社は、3Dアニメーション/ビジュアルエフェクトソフトウェア「Autodesk Maya」や、3Dモデリング/アニメーションソフトウェア 「Autodesk 3ds Max」をはじめとした業務そのものを支援する製品に加え、制作全体のワークフローとデータを一元管理するクラウドプラットフォーム「Autodesk Flow」なども展開している。

 Colella氏は「われわれは、3つの業界にプラットフォームを提供する戦略を採っている。M&E向けにはFlow、建築・エンジニアリング・建設・運用(AECO)向けには『Autodesk Forma』、製品設計・製造(D&M)向けには『Autodesk Fusion』を提供している。プラットフォーム戦略を通して、既存顧客だけでなく新規顧客にも価値を提供できる」とアピールする。

 Autodeskの強みの一つとして、AECO・D&M・M&Eの垣根を越え、顧客のデジタル改革を支援できることがある。Colella氏は「これらの3業界をつなげるのはテクノロジー。例えば、AECO・D&Mで活用されるデジタルツインの基となるリアルタイムテクノロジーは、ゲーム業界で以前から用いられてきた。仮想現実(VR)技術も長年M&Eで活用されていたが、この技術はAECO・D&Mでも有効である。提供する製品名は異なるが、将来的には全ての業界において同じテクノロジーを追求することになるだろう」と説明する。

 日本のゲーム/アニメーション業界は市場規模が拡大傾向にある一方、クリエーターの人手不足に伴い、長時間労働が課題となっている。近年は米NVIDIAなど、M&E以外の企業もCGクリエーターの採用を進めており、人材不足に拍車がかかっているそうだ。

 これに対し、Colella氏は「AIはこれらの課題の一部を解決するが、決してクリエーターの役割を代替することはない」と断言する。AIはあくまでアシスタントであり、雑務の代行や業務全体の整理を担うことで、クリエーターが本来の業務に時間を割くことを可能にするという。その上で、同氏は「クリエーターの数は不足しているが、作成しなければいけないコンテンツは膨大にある。より多くの人が3D技術を学べば、一人一人の業務負荷は軽減される」と展望を述べる。

 Autodeskのプラットフォームも現場の業務効率化に寄与する。プラットフォームの活用により、コンテンツの企画や構成などを行う「プリプロダクション」から、撮影を行う「プロダクション」を経て、収録した素材の加工や仕上げを行う「ポストプロダクション」まで、データを横断的に共有することが可能となり、ワークフローの効率化が実現するという。

 「これまでプリプロダクションとポストプロダクションとの間でデータを共有するにはさまざまなプロセスを経る必要があり、たくさんの課題があった。『Autodesk Flow Capture』を活用することで、撮影で収集したデータを即座にポストプロダクションに引き渡し、業務を効率化できるようになった」とCollela氏は説明する。

 Autodeskが日本のM&Eの発展に貢献できる部分について、Colella氏は「われわれには、素晴らしい顧客がおり、実績を上げている。その背景には、当社と顧客の強固な信頼関係がある。特に、日本法人のセールスやマーケティング、カスタマーサポートのチームには、大きな役割を担ってもらっている。Autodesk製品に対して顧客がどのような改善を求めているのか、コンテンツ制作のパイプラインを効率化させるには何が必要なのか。引き続き顧客の声に耳を傾け、ニーズに合ったソリューションを提供していきたい」と語った。

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