第4回:顧客体験管理を実現する体制・プラットフォームの作り方

今回は「第4回:顧客体験管理を実現する体制・プラットフォームの作り方」についてご紹介します。

関連ワード (ビジネスからIT基盤を考える--顧客中心主義のIT基盤の作り方、ビッグデータ等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。

本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。


 前回は、現在の顧客行動の事例をもとに、顧客体験管理に必要な要素を考えていきました。最終回となる今回は、必要な要素である「リアルタイム性」「AI(人工知能)/機械学習」「スケーラビリティー」、そして「セキュリティを含むデータガバナンス」について詳しく見ながら、企業が適切な顧客体験管理を実行することの意義、必要性を改めて考えていきます。

 前回は、顧客体験管理の重要性について、幾つか具体的なケーススタディーを設定して考えていきました。今回はより具体的に企業の実例を挙げて見ていきます。

 顧客体験に基づき、コミュニケーションを改善することで企業にどのようなメリットがあるのでしょうか。それを象徴する例として、ある人材紹介サービス企業の取り組みを紹介しましょう。

 その人材紹介サービス企業では、求職者がウェブサイトを見て仕事を選び、希望企業に応募するという形態を取っていました。ユーザーインタビューやA/Bテストを実施し、求職者のニーズを反映するウェブサイト作りを心がけていましたが、ウェブサイトの計測ツールとテストツールがバラバラで、検証結果や成果が把握しにくいという課題を抱えていました。

 そこで新たに、パーソナライズ機能と分析・AI機能を備えたプラットフォームを導入し、ユーザー行動を分析してレコメンド方法を変えたところ、応募率が大幅に向上したそうです。

 インタビューと計測ツール解析の結果、求職者のこだわり条件として「勤務地(駅)」が大きな要素を占めていることが分かり、仕事内容に基づくレコメンドではなく、検索駅近辺の仕事をレコメンドした結果、大きな成果が得られました。さらにAI機能を活用し、応募者のこだわりを類推してそれに基づく提案を自動的に行うようにしたところ、応募率はさらに高まったそうです。

 また、求職者ごとのウェブ行動を時間軸で追っていくことで、応募までのフローを改善し、使い勝手を向上させたことにより、さらに応募数が伸びました。

 このケースでは、求職者が求めるニーズに基づき、最適な提案を行うことで、採用したい企業のニーズに応えることができ、結果三方良しとなった例といえます。

 もう1つは旅行代理店の事例です。その旅行代理店では、それまで店舗での販売が中心だったため、ウェブでの旅行プラン販売に関してノウハウがなく、「ウェブサイトに掲載しておけば売れる」という風潮でした。そのためアクセス解析や顧客分析が十分になされておらず、いい旅行プランでもなかなか認知・購買されないという状況だったそうです。また、大切なコミュニケーション手段であるメールマガジンの配信も外部に委託していたため、必要なときに社内で自由に配信できないという状態でした。

 以上のような状態から脱却するため、この旅行代理店では統合分析ツールや顧客DMP(データ管理基盤)、パーソナライズツール、デジタルコンテンツ管理ツールを導入しました。

 それによって、(1)広告施策の成果やクリエイティブの評価、(2)顧客のウェブ行動に基づくウェブサイトの改善、(3)コンテンツ制作のサイクルを迅速化、(4)メール配信――という一連の取り組みを通じて、CTR(クリックスルー率)・CVR(コンバージョン率)ともに大幅に向上しました。特に、顧客のウェブ行動をもとにニーズを的確につかみ、その結果をメールマガジンに反映して顧客ごとのレコメンデーションを行ったところ、大きな反響を得たそうです。広告施策の成果も上がりました。

 この旅行代理店では、広告施策からコミュニケーションまでのさまざまな接点で、顧客行動の分析結果を反映した結果、大きなビジネスメリットを得ることができた例です。多くのチャネルに分析結果を展開することで、より大きな成果を得られたという好例です。

 ただ、顧客体験を活用するには、忘れてならないことが1つあります。それは、データを管理・活用するための仕組みを整えておく必要があるということです。

Amazon EMR(Hadoopなどのビッグデータフレームワークを ...

Amazon EMR は、Apache Spark、Apache Hive、Presto などのオープンソースのビッグデータフレームワークを使用して、膨大な量のデータを処理して分析するサービスです。

スーパーなどの混雑傾向を表示する「お買物混雑マップ」--人 …

unerryは、全国約2万8000店のスーパーやドラッグストアなどのお店やその周辺について、曜日・時間帯別混雑傾向を調べることができる無料サイト「お買物混雑マップ Powered by Beacon Bank」を、5月7日に公開した。スマートフォンアプリの位置情報をベースに、人流ビッグデータをAIで解析。お店近辺約100mの混雑状況を調査し、混雑状況を表示するサイトとなっている。

“医療ビッグデータ&AI”融合、「ヘルステック関連株」変貌の ...

―超高齢化社会と新型コロナ遭遇が世界を変える、医療ICT加速で難局打開― 新型コロナウイルスによって日本経済や株式市場は激震に見舞われたが、日経平均株価はその後急速な戻り足をみせ、実体経済も活動再開の動きが徐々に軌道に乗ってきた・・・。

ビッグデータから読み解く「Go To トラベル」キャンペーンに ...

7月22日からコロナ禍で窮地に立たされた観光業界を活性化させるべく実施されている「Go Toトラベル」キャンペーンだが、実際のところ、どれくらい旅行者は増えたのだろうか?このほど、ヤフーのビッグデータを...

ビッグデータ研究は医学の進歩に貢献|学会レポート|医療 ...

 健康診断や人間ドックの最終目標は、疾患や高リスク者を発見し早期の治療や介入により健康寿命延伸を実現させることである。また、その過程で蓄積されるビッグデータを解析することで、疾患の診断や将来のリスク予測、指導成績の改善に役立つ科学的エビデン

COMMENTS


Recommended

TITLE
CATEGORY
DATE
GMがバッテリーのエネルギー密度向上でSolidEnergy Systemsと提携
モビリティ
2021-03-14 20:15
Zoomの伝道師が語る「これからのコミュニケーションの在り方」
IT関連
2022-11-26 00:56
マイクロソフトの生成AIを利用するデジタル庁と弁護士ドットコム、三菱UFJ銀行
IT関連
2023-06-29 13:59
アイリスオーヤマ初のノートPC登場 税別4万9800円 GIGAスクール需要で
最近の注目ニュース
2021-03-23 13:56
大企業に人気のDX支援事業者はコンサルティング会社とSIer–IDC調べ
IT関連
2022-04-28 16:17
USJ、初の「鬼滅の刃」アトラクション “水の呼吸”全身で体感
くらテク
2021-06-29 16:43
Red HatがクローンOSベンダを非難/プログラミングのためのBGM/DockerコンテナイメージをWebAssemblyに変換など、2023年6月の人気記事
編集後記
2023-07-07 17:27
映像内の顔・ナンバープレートにリアルタイムでモザイク AIで認識、プライバシー保護に
ロボット・AI
2021-05-26 11:17
バーチャルミュージシャンが曲をその場で作っていくコンサートを4月14日にAuthentic ArtistsがTwitchで開催
ネットサービス
2021-04-09 19:15
クラウドで“お堅い会社”が変わり始めた–関西電力送配電の体験記
IT関連
2022-10-08 17:09
「CentOS」の代替OS「AlmaLinux」、マイクロソフト「Azure」で利用可能に
IT関連
2021-08-19 23:24
MetaやIBM、オープンなAI開発推進で「AI Alliance」結成–50以上の組織が参加
IT関連
2023-12-07 15:19
AWSが“駆け出し”のCTOを支援する新たなプログラム
IT関連
2022-05-28 11:19
「巨人用 進撃の巨人」巨大コミック発売 縦1m・重さ13.7kg・15万円 ギネス目指す
くらテク
2021-03-05 15:20