エージェントはAI革命の「第3の波」–生成AIとの違い、導入と運用の課題を押さえる

今回は「エージェントはAI革命の「第3の波」–生成AIとの違い、導入と運用の課題を押さえる」についてご紹介します。

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本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。


 エージェント型AIによって、人工知能(AI)は生成AIを超える新たな次元に到達するかもしれない。エージェント型AIの特徴や課題はこれまでと同じだが、顕著な相違点もある。

 Salesforceの最高経営責任者(CEO)であるMarc Benioff氏は、エージェント型AIをこの分野の急速な進化における「第3の波」と捉えている。「わずか数年の間に3世代のAIが登場した」。Benioff氏は先頃、The New York Timesの記事でこう述べている。「最初は、データを分析する予測モデルだった。次に、『ChatGPT』のようなディープラーニングモデルによって実現される生成AIが登場した。現在は第3の波が到来している。このAIの特徴は、複雑なタスクを自律的に処理できるインテリジェントエージェントだ」

 AIエージェント(インテリジェントアシスタント)は、デジタル版の同僚やアシスタント、顧客サービス担当者の役割を果たすことを目的としており、自然言語処理によってコミュニケーションを取る。「以前は想像できなかった方法で人間の能力を増強する可能性がある」とBenioff氏は述べた。

 「企業がAIエージェント部隊を配備して、顧客とのやりとりの管理、データの分析、販売戦略の最適化、運用タスクの実行がリアルタイムで、人間による監督をほぼ必要とせずに可能になる世界を想像してほしい」

 AIエージェントは焦点を絞っているため、より広範なAIでは効果的に提供できない新しい機能や投資対効果(ROI)を実現できるという点で、業界の意見は一致している。「エージェント型AIは、大きな価値を解き放つ次の波となるだろう」。Boston Consulting Groupの技術構築および設計部門であるBCG Xでマネージングディレクター兼シニアパートナーを務めるSesh Iyer氏は、米ZDNETにこのように語った。

 同氏はまた、「プロセスを根本的に再設計し、生産性の大幅な向上を可能にする好機だ」としている。

 分析AIや生成AIと同様に、AIエージェントの構築と使用においても、倫理と運用に関する明確なガイドラインに従う必要がある。これには、エラーを最小限に抑えるためのテストや、ガバナンスの仕組みが含まれる。あらゆるAIインスタンスと同じく、デューデリジェンスによってコンプライアンスと公平性を確保することも必須だ、とIyer氏は語った。

 これもAI全般に当てはまることだが、AIエージェントを設計、構築、管理するための適切なスキルが必要だ、と同氏は続ける。そのような人材はすでに多くの組織にいる可能性が高く、必要な分野の知識を備えているという。「従業員のスキルを向上させて、エージェント型AIを効果的に管理、使用できるようにしよう。社内の専門知識を開発することが、これらのシステムから長期的な価値を引き出す鍵となる」

 生成AIとエージェント型AIには、顕著な違いもある。「エージェント型AIは自律的に決定を下すように特別に設計されており、人間の介入が必要ない場合が多い。この点が生成AIの一般的な使用方法と異なる」。こう語るのは、Mendixの専門家であるDavid Brault氏だ。同氏は、エージェント型AIと生成AIを区別する機能や特徴は数多くあると指摘し、まずコンテキストとフォーカスを挙げた。

 生成AIアプリケーションは多数の機能や業界をターゲットにできるが、エージェント型AIは「特定の環境やコンテキストにフォーカスしている」とBrault氏は述べた。Enthoughtの最高執行責任者(COO)であるMichael Connell氏も同じ意見で、エージェント型AIの現在の最適なユースケースは、「予測可能で、定義済みであり、エラーのリスクが低いか、エラーが発生しても影響の重大度が小さいタスクだ」としている。

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