売上に効果的な「匂いによる集客」で匂いセンサーのI-PEXとAIソリューションのヘッドウォータースがタッグ
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nose@MEMS
I-PEX(旧第一精工)とAIソリューション事業を手がけるヘッドウォータースは4月22日、匂いセンシング事業において協業し、匂いデータ解析AIサービス「デジタルオルファクションサービス」を開始すると発表した。
I-PEXはかねてよりMEMS技術を活用した匂いセンサーの具現化に取り組んできた。これまでに匂いセンサー「nose@MEMS」(ノーズメムス)および「noseStick」(ノーズスティック)を発表しており、幅広い業種・業界から数多くの反響があったという。
ヘッドウォータースはコミュニケーションロボットからAIソリューション事業に発展した経緯から、センシングデバイスの取得データを利用し、人間の五感をデジタル化するマルチモーダルインターフェースの実現に取り組んでいる。
両社は、I-PEXが開発・製造するnose@MEMSと、ヘッドウォータースのAIソリューション技術を活用することで、「嗅覚」のデータを集め、機械学習と統合した臭気アナリティクスと嗅覚AIによるデジタルオルファクション (Digital Olfaction。嗅覚の刺激)ソリューションを展開する。
匂いセンシング事業の第1弾としては、スマートストア向け売上予測ソリューションを提供。スマートストアに「nose@MEMS」を置き、匂いの分子パターン解析とストア売上の相関関係を導き出すという。同ソリューションを導入することで、スマートストアは売上に一番効果的な「匂いによる集客」を実施可能としている。
今後I-PEXは、自社のMEMS技術を活かした匂いセンサーの開発・改良を行い、デバイスの提供・販売活動を行う。ヘッドウォータースはセンサーの販売活動とともに、顧客の匂い課題に対応したAIコンポーネントの開発、データプラットフォーム構築、クラウドネイティブアプリケーションとの統合を提供する。
さらに両社は、医療・ヘルスケア領域における呼気・尿・血液など体液中の揮発性有機化合物の分析をはじめ、物流業・製造業における機械故障の匂い検知アラートと労働者の最適配置や、スマートシティにおける地域の悪臭に対処する一環として臭気環境をデータ化するアナリティクス、複数のセンサーからなるハイブリッドコネクテッドデータプラットフォームの構築を行う。
nose@MEMSは、I-PEXが開発した、複数の検知素子が検出する「匂い分子のパターン」を認識し、識別する匂いセンサー。
チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)の圧電薄膜に異なる感応膜を塗布した検知素子20種類を1枚のセンサーチップ上に搭載。電圧をかけて共振している感応膜に匂い分子を付着させ、共振周波数の変化から数値データを取得、パターンを照合することにより匂いを識別している。PZTの圧電薄膜を用いたMEMSの活用により小型・低コスト化が見込めるとともに、検知素子の数を増やすことでより多くの匂いを識別可能という。
なおMEMSとは、機械要素部品、センサー、アクチュエーター、電子回路をひとつのシリコン基板・ガラス基板・有機材料などの上に集積化したデバイスを指す。Micro Electro Mechanical Systems(微小電気機械システム)の略称で、頭文字からメムスと呼ばれる。
また5月30日までの期間限定で、スマートフォンに挿すだけで匂いを計測できるデバイス「noseStick」を、福岡市内3拠点で開催するポップアップストア「b8ta Pop-Up Store Fukuoka 2021」および東京・新宿の「b8ta Tokyo – Shinjuku Marui」で出展している。
noseStick
同社は2019年より、センサーやAIを組み合わせ食品の品質管理や空間上の臭気検知などの課題を解決する匂いセンシング事業を、凸版印刷株式会社とアライアンスを締結し推進している。
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