コンテナーデータ保護のKasten、創業者に聞くクラウドネイティブとセキュリティ
今回は「コンテナーデータ保護のKasten、創業者に聞くクラウドネイティブとセキュリティ」についてご紹介します。
関連ワード (ITインフラ等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。
本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。
データ保護とバックアップのVeeam Softwareが、次の“ビリオンダラービジネス”と見込むのがコンテナーだ。同社は、コンテナー保護を手掛けるKastenを提携開始からわずか6カ月で買収、「Kasten by Veeam」として展開していく。Kastenの創業者で現在もチームを率いるNiraj Tolia氏に話を聞いた。
–Kastenを創業した背景はどのようなものか。
創業は2017年だが、2015年に、当時開発していた製品のコントロールプレーンをKubernetes上で動かしてみた。すると、開発者は別の開発者のコードがどんどん出てくるというちょっとした混乱が起きた。だが、これはソフトウェア開発として正しい方法だ。その時にプラットフォームが高速開発をサポートする必要性を感じた。
この体験から、コンテナー、中でもKubernetesが“離陸する”と信じて、これに賭けることにした。当時はDocker swarmやMesosphereなども勢いがあり、今後は重要なアプリケーションがコンテナーベースに移行すると思った。そこでは、必ずデータ保護ソフトウェアが必要になる。そうしてKastenは生まれた。
当時Veeamとは付き合いがなかったが、Veeamは仮想化保護のニーズにうまく乗って成長したので、われわれは「コンテナーのVeeam」を目指していた。Veeamも仮想化の次のインフラトレンドはコンテナーという認識を持っている。Veeamとは共通の投資会社(Insight Partners)を通じて提携し、2020年秋に買収となった。
–現在の事業運営について教えてほしい。
Veeam完全子会社のKasten by Veeamとして事業を続けている。私は、Kasten by Veeamのプレジデント兼ゼネラルマネージャーであり、VeeamのCEO(最高経営責任者)であるBill(Bill Largent氏)に直接レポートしている。
子会社なので、これまで通り迅速に動くことができる。独自のセールス、マーケティング、サポート、製品エンジニア、カスタマーサクセスチームを持っており、Veeamとは独立している。2週間おきに新機能をリリースしており、プランニングという点でも、視野を広げつつスピードは変わっていない。
同時に、セールス、マーケティング、製品サポート、開発などでVeeamとの協業も進めている。Veeamの下に入ったことで、大手など顧客と話をしやすくなったことは事実だ。Veeamのチャネルパートナーは全てKastenも販売できる。数字にも表れており、大口の契約が増えているし、Veeamとの共同案件も増えた。
–コンテナーは比較的新しいが、コンテナー保護の受け入れをどう見ているか。また、コンテナー導入企業はどのぐらい保護の必要性を感じているのか。
2021年第1四半期の売上高は予想を30%上回り、年間経常利益(ARR)が前四半期から倍増した。営業案件が平均60~90日で成立するなど、非常に好調だ。
先進的な企業では、DevOpsとCI/CD(継続的なインテグレーションとデリバリー)を組み合わせたり、インフラストラクチャー・アズ・コード(コードベースのITインフラ運用管理)や自動化を積極的に取り込んでいる。Kastenは、このような企業に採用されることが多い。
一方でmクラウドネイティブを始めたばかりという顧客には啓蒙が必要と言える。だが、多くの企業は仮想化を経験しており、伝統的なインフラで運用してきた中、保護が重要ということは理解している。そのため、クラウドネイティブになった時に何をすべきかの認識はある。
つまり、運用環境にした後でセキュリティを考えるのではなく、新しいアプリを開発する際に、Kubernetesクラスターのプロビジョニングを行い、最初のコードが書かれる前にデータの保護を考慮するShift-Left(シフトレフト)でセキュリティを組み込むというものだ。これにより、全てのイテレーションで保護が組み込まれる。そのため、われわれが話をするのは、DevOpsの中でもオペレーション担当になる。
–Veeamの主力製品になるのは、いつになるのか。
顧客の中でコンテナーソリューションの優先順位が高まっており、それとともにKastenの重要性も高まっている。セキュリティそのものの重要度が高まっているという背景もある。
われわれの目標は、いかに早くARR100万ドルを達成するか、だ。到達するために何が必要か分かっているし、道筋は見えている。その次は10億ドル事業を目指す。今後10年で実現できるだろう。
–5月のKubeConに合わせて、最新版の「Kasten K10 4.0」を発表した。ランサムウェアの保護などが加わったが、今後の機能強化やVeeamとの統合は、どうなるのか。
メッセージキューのサポート、Kafkaのサポートなどを進める。エッジコンピューティングはこれから重要なフォーカスになる。5G(第5世代移動体通信)のアプリケーション、特定のエッジディストリビューションの動向を見ている。
Veeamとの統合は、まずバックアップで「Veeam Backup & Replication(VBR)」との統合を進める。VBRの管理者は、K10でも何が起こっているのかを把握できるし、(バックアップ先メディアの1つの)テープのように、K10がサポートしていないリポジトリーも活用できる。コントロールプレーンとユーザーインターフェースでも統合を進め、顧客にとって正しい体験を提供する。
だが、Kastenは今後もK10を独立して提供する。顧客の中には、小さなフォームファクタやエッジで動かしているところもあり、幅広いユースケースがある。われわれはVBRを販売するのが目的ではなく、顧客の問題を解決するのが目的だ。これに基づいてロードマップを作成しているし、Veeamとの統合の指針にもなっている。
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