1960年代以来の事業体制の改革を実施するNEC森田社長の思いとは

今回は「1960年代以来の事業体制の改革を実施するNEC森田社長の思いとは」についてご紹介します。

関連ワード (松岡功の「今週の明言」、経営等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。

本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。


 本連載「松岡功の『今週の明言』」では毎週、ICT業界のキーパーソンたちが記者会見やイベントなどで明言した言葉を幾つか取り上げ、その意味や背景などを解説している。

 今回は、NEC 代表取締役 執行役員社長 兼 CEOの森田隆之氏と、富士通 取締役執行役員専務 兼 CFOの磯部武司氏の発言を紹介する。

 NECは先頃、「2025中期経営計画」の実現に向けて事業戦略の実行を一層加速・強化するため、「組織の大括り化」「レイヤー(階層)のフラット化」「組織デザインの柔軟性」「権限委譲と責任の明確化・強化」を核とした事業体制の改革を4月から実施すると発表した。森田氏の冒頭の発言は、直近の四半期決算とともにこの改革について説明したオンライン会見で、経営トップとしての意気込みを示したものである。

 改革の内容については発表資料をご覧いただくとして、ここでは森田氏の会見での発言に注目したい。

 同氏はまず、今回発表した改革の背景について、「企業においてデジタルトランスフォーメーション(DX)が進展する中で、市場の要求は業務の効率化や革新から新たな価値やビジネスの創出に移りつつある。また、競争環境は一段とグローバル化、複雑化している。こうした環境下では、NECが有するあらゆるリソースを柔軟かつスピード感をもって配分できるようにすることが今まで以上に重要だ」と述べ、図1を示しながら、4月から実施する4つの改革について次のように説明した。

 「現在、約150ある事業部レベルの組織数を3分の1に再編するとともに、CEOから担当者までのマネジメント階層を8階層から6階層に集約する。また、競合に負けないリソースをダイナミックにリアロケーション(資産配分の見直し)ができるような事業体制にし、マネジメント階層をよりフラットにアジャイルな組織デザインに変容することで、スピーディーな事業運営を可能にする。さらに、共通機能と現場の役割を明確にすることにより、現場に近いところでの意思決定がより迅速に進むようにする」

 その上で、特に組織の大括りについて次のように強調した。

 「当社は1960年代に事業部制を導入したが、時間が経った中で個々の事業部が小粒化してしまい、事業ごとに競争力を発揮しようとしても適切な投資やリソースの配分を行うことが難しくなってきていた。そこで、組織を大括りにすることによって、再編した事業の中でリソースを現場に近いところでスピーディーにリアロケーションできるようにしたい」

 「個々の事業部が小粒化してしまった」との発言が印象的だったので、「明言」として取り上げた次第である。

 この4月から社長就任2年目に入る森田氏。同氏にとって使命である2025中期経営計画の実現に向けてギアを大きく入れ換えたというのが、筆者の印象である。

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