NEC、景観場所を衛星画像から推定する新技術–救助活動の迅速化へ
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NECは2月10日、地上で撮影された景観画像を、衛星画像や航空写真の上空から撮影された画像と照合することで、景観画像の場所を推定する技術を開発したと発表した。
同技術により、ランドマークとなる建築物が写っていない場合でも、広域を捉えた衛星画像や航空写真から撮影場所を見つけることが可能となる。NECは今後、自然災害の被害を受けた場所や範囲の推定に同技術を活用することで、救助活動の迅速化などへの貢献を目指す。
水害や地震といった自然災害の発生時には、被災者の救助活動や生活再建に向けた取り組みを迅速に行えるよう、被害を受けた場所や範囲、状況を即座に把握することが求められる。これらを把握する方法として、市民から自治体などに提供される、災害状況の撮影画像の活用が期待されている。
同社は被災状況の迅速な把握に向けて、衛星画像や航空写真を活用して地上で撮影された画像の場所を推定する技術を開発した。同技術を用いた公開データセットによる評価では、85.6%の照合精度を確認した。
同技術では、照合地上で撮影した横からの景観画像と、人工衛星や航空機から撮影した上からの景観画像における特徴量(特徴を定量的に表した数値)の対応付けを学習する手法を開発したことで、視覚的な見え方が大きく異なる画像を高精度に照合することができる。
従来の技術では、ランドマークとなる建築物が写った位置情報付きの画像と照合することで場所を推定していたが、この手法では限られた場所以外での推定が難しいという課題があった。今回開発した技術は、位置情報付きの衛星画像や航空写真と照合するため、街中の広い範囲の場所を推定することができる。
同技術では、時間の経過により移動・変化する被写体を景観から削除し、それらの画像を大量に自動生成して学習することで景観の変化に対応する。これにより、地上で撮影した画像と衛星画像や航空写真との間で、車の移動、建物の取り壊し、樹木の伐採などにより景観が変化していても、画像の場所を推定することができる。
同技術は、コンピュータービジョン分野の国際学会「2022 IEEE/CVF Winter Conference on Applications of Computer Vision」(WACV2022)で発表された。なお、同技術を活用する際は、撮影者の同意が得られた画像や写りこんだ人物を特定できない画像など、プライバシーに配慮した画像の利用を想定している。