電帳法改正にどう対応するか(後編)–検討における4つのステップ

今回は「電帳法改正にどう対応するか(後編)–検討における4つのステップ」についてご紹介します。

関連ワード (特集・解説、電帳法改正にどう対応するか等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。

本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。


 前編では、改正電子帳簿保存法の内容や今後どのようなスケジュールで検討すれば良いかについて解説しました。後編では、改正電子帳簿保存法に対応するための具体的な検討ステップについて説明します。下記のような悩みをお持ちの方はぜひ最後までお付き合いください。

 具体的な検討ステップへ入る前に、検討を進めるに当たり重要な2つのスタンスを説明します。

 1つ目は、完璧な状態ではなく現実解を求めようということです。電子帳簿保存法では個別具体的な内容についてOKかNGかが記載されていないことも多く、あいまいな部分が存在します。そのあいまいな部分を全て安全な方に倒していくと、ものすごく業務負荷が高い状態になってしまいます。

 例えば「見積書も対象ですか?」「取引に至らなかったものも入りますか?」といった質問を受けることがあります。取引に至ったものだけでOKという記述はないため、安全な方を選択すると取引に至らなかったものも保管しておくことになりますが、そうしたものまで漏れなく保存しようとすると運用が大変になるのは容易に想像できます。また、税務調査で取引に至らなかった見積情報まで見せなさいと言われるのは、よほど怪しい取引があるなど、通常ではなかなか考えにくいシチュエーションです。

 このように万が一を考えてゼロリスクの状態を求めるのではなく、現実的に対応可能で、ここまでやっていれば悪質と判断されて罰則を受けることはない、という現実解を求めるイメージで検討していただくと良いかと思います。

 2つ目は、現在保管している証憑(しょうひょう)を中心に考えるということです。今回の電子帳簿保存の改正では保存の方法は変わりますが、新しく保存対象の書類や情報が増えるわけではありません。

 「見積書も対象ですか?」と言う方から現状をヒアリングすると、現在も見積書は保管していないというケースもあります。電子取引情報が紙で保管できなくなる改正ではありますが、見積書は以前から「一般書類」として厳密には保管が必要ということは変わりません。もちろんこれを機に見直すことは良いのですが、保管対象は以前から変わっていないことを念頭に、まずは今まで保存していた証憑をベースに検討し、その中にデータで受け取っているものがあれば電子取引情報として扱うというスタンスが良いかと思います。

 それでは具体的な検討のステップに進みます。電子帳簿保存法の検討は下記の4つのステップで進めることをお勧めします。

 まずは、保存対象の書類を選んでリストを作成します。その前提として、国税関係書類における「重要書類」と「一般書類」という分類についてお話します。重要書類は「資金や物の流れに直接連動する書類」、一般書類は「資金や物の流れに直接連動しない書類」と定義されています(図1)。こちらは書類の分類で電子取引情報ではないのですが、重要度については同じ考え方が適用できます。

 まずは会計処理の直接的な根拠資料となる重要書類をしっかりとカバーするというイメージで、対象となる書類・電子取引情報を発行と受領でそれぞれリストアップし、現在利用しているソフトやシステムがあれば記載しておきます(図2)。書類の名前に惑わされずに「会計処理の直接的な根拠資料」かどうかで重要度を判断しましょう。

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