シスコ、Wi-Fi 6E対応APなどハイブリッドワーク時代を支えるネットワーク製品群
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シスコシステムズは3月29日、Wi-Fi 6E対応アクセスポイント(AP)や「Cisco Catalyst 9000Xスイッチ」の新モデル、エンタープライズ向けの「Cisco Private 5G」など、ハイブリッドワークを支援する新たな製品群を発表した。
同社 代表執行役員社長の中川いち朗氏は会見で、同社のパーパス(存在意義)を「全ての人にインクルーシブな未来を実現する(To power an inclusive future for all)」と紹介。「誰もが分け隔てなく受け入れられて認められていると実感できる社会」を“インクルーシブ”という言葉で表現し、「こういった社会をデジタルで実践することこそシスコの使命だ」と語った。
また、コロナ禍によってデジタルシフトが日本でも急加速した現状を踏まえ、中川氏は「今こそシスコのパーパスを実現する時。すなわち、デジタル化の恩恵を受けられる人と受けられない人との格差を解消し、誰もが取り残されない社会を作るための大きなチャンスだ」とした。
ハイブリッドワークは同社の注力分野の一つであり、ユーザー企業の課題意識がとても高いという。それを受け、シスコでは4月から大々的なキャンペーンを展開すると明かした。ハイブリッドワークの時代には、働く場所や勤務体系に関係なく、従業員が生産性を落とさず最高のパフォーマンスを発揮できる環境を実現しなくてはならないという。
また、安全かつ快適で働きやすいハイブリッドワーク環境を提供するためは、「安心安全なアクセス」「柔軟なコラボレーション」「全てを可視化」の3点が重要だとし、これらを実現するのが同社の「変化に即応できる統合プラットフォーム」であると強調した。
続いて、同社 執行役員 エンタープライズネットワーキング事業担当の眞崎浩一氏が今回発表の新製品について説明した。まず、ハイブリッドワーク時代のオフィスネットワークに起きている異変として、「オフィスに出社する人数がコロナ禍以前の3割から5割程度に減っているにもかかわらず、オフィスのネットワークトラフィックは逆に増加している」ことを指摘。その理由として利用が急拡大したビデオ会議システムの特性を挙げた。
コロナ禍以前のオフィスのトラフィックは、ウェブやメールが中心で情報量が少なかったが、コロナ禍以降はオフィスに出勤した人も在宅勤務者や社外関係者と頻繁にビデオ会議をするようになっていることから、そうしたトラフィックが増加した。ビデオ会議システムは双方向通信であり、終了・切断するまでセッションを維持するため、ネットワークに与える負荷が極めて高いという。
こうした環境変化に対応し、急増したビデオ会議を快適に利用するための新製品として発表されたのが、Wi-Fi 6E対応のアクセスポイント製品「Cisco Catalyst 9136」「Cisco Meraki MR57」や、アクセスポイントを接続/集約化するスイッチ「Cisco Catalyst 9000X」になる。また眞崎氏は、さまざまなアクセスネットワークを単一の認証システムで一元的に管理可能とする「Cisco Identity Services Engine(ISE)」や無線ネットワークの利用状況を3Dマップ上で可視化できる「Cisco DNA Spaces」なども紹介した。
Cisco Private 5Gについては、同社 執行役員 サービスプロバイダー アーキテクチャ事業担当の高橋敦氏が説明。これは、ローカル5G(特定エリアで使用する第5世代移動体通信システム)のマネージドサービスで、現在は限られたユーザー企業を対象に提供が開始されている段階という。今夏ごろの一般提供を予定している。
いわゆるローカル5Gのソリューションだが、同社が得意とするエンタープライズネットワークと密接に統合されている。Cisco ISEによる認証のほか、運用管理や可視化のソリューションもそろうことから、冒頭で中川氏が挙げたハイブリッドワーク環境に求められる要件が一通り整備された形だ。