日立、散在するシステムから必要な情報を提供する製造業向け新基盤
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日立製作所(日立)は、製造業における属人的な業務ノウハウをデジタル化するとともに、既存システムに散在するデータを統合的に管理して、業務遂行に必要な一連の情報を適切なタイミングでユーザーに自動提供する情報一元管理プラットフォーム「WIGARES(ウィガレス)」を販売開始した。
同プラットフォームを活用することで、アラームやイベント、故障予兆などの事象発生をトリガーとして、関連する業務情報をユーザーにプッシュ通知するため、必要なデータを適切なタイミングで参照しながら業務を行える。
ユーザーごとのニーズに応じた情報の提供が可能で、経営者は運転効率分析、アラーム対処状況管理表、 製造部門は運転データ、運転操作標準書、運転日誌、保守作業者は故障履歴、機器図面、部品台帳などに活用できる。また、ユーザーがメンテナンスできるため、業務実態に合わせてシステムを継続的に更新することが可能。
業務ノウハウのデジタル化・統合管理には、同社が開発した「構造化情報一元管理技術」(SIMT)を活用する。これにより、複数システムやファイルサーバー内に散在する情報に識別子(構造化ID)を付与して構造化し、集約して蓄積・共有・再利用ができるナレッジベースを構築する。
さらに、それらの情報同士の関係性(関係リンク)を業務ベースで定義することにより、複数システムにまたがる複雑な業務ノウハウのデジタル化が可能となる。
同社は2021年12月から、国内の大手製造業においてWIGARESの実証実験を行ってきた。その結果、設備トラブル発生の兆候を捉えた際に、処置判断に必要となるマニュアル、設計図書、保守情報などのデータが格納されている各システムから自動で取得し、それらデータの参照手順とともにユーザーへプッシュ通知できた。
「構造化ID」と呼ばれる識別子は、業務オペレーションで取り扱うシステムが持つ各データに付与される。これによりデータの意味合いを定義され、合わせて構造化IDを業務シーンに結び付けて定義する「関係リンク」により、業務ノウハウをデジタル化することが可能になる。
構造化IDと関係リンクが定義されていることにより、ユーザーは「業務Xを行うためには業務情報A・B・Cが必要で、A→B→Cの順番でデータを参照し業務を遂行する必要がある」といった迅速な通知とそれらのデータをWIGARESから自動で取得できる。
関係リンクが登録されていない事象に対して業務を行う場合は、WIGARES上の検索機能を使い、構造化IDが付与されている任意のデータを検索することが可能。加えて、自己学習機能により、検索結果から自動で関係リンクを定義できるため、次に同一業務を行う際には、検索することなく必要な情報を参照することが可能となる。
今後、日立はWIGARESをLumadaソリューションとして国内の製造業に幅広く提供するとともに、クラウド対応や異常発生時の自動運転制御などの機能を拡充していく予定。日立のデジタルソリューションとWIGARESを連携させることで、CPS(Cyber Physical System:サイバーフィジカルシステム)の構築によるプラント操業自動化を目指す。