IT部門が抱えるSaaS管理の課題を解決–「SaaSポートフォリオ最適化プロジェクト」の手法とは(前編)
今回は「IT部門が抱えるSaaS管理の課題を解決–「SaaSポートフォリオ最適化プロジェクト」の手法とは(前編)」についてご紹介します。
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企業内でSaaSの導入が進む中、IT部門ではツールやアカウントの管理工数の増加、セキュリティリスクの拡大、コストの上昇といった課題が発生しています。
本稿では、IT部門を悩ませる「SaaS管理」の業務について、どのようにアプローチしていけば良いのか、当社で実施したプロジェクトを例に解説します。「SaaSポートフォリオの最適化」をするためのプロセスや、活用したツールも併せてご紹介します。
近年、SaaSのサービス数や、1社当たりの導入数は世界的に増加傾向にあります。米Oktaの調査では、1社当たりの平均SaaS利用数が2021年で89個、大企業(従業員数2000人以上)で平均187個を利用という実態が分かりました。
また、世の中には数万ものSaaSがあるとも言われています。日本の1社当たりの利用SaaS数はまだまだ少ないのですが、市場内のサービス数は年々増加しています。スマートキャンプが毎年発表している「SaaS業界レポート」で「SaaSカオスマップ」のサービス掲載数は2017年以降増え続け、2022年には950件以上になりました。
利便性や効率性の向上を目的としてSaaSを導入する企業が増えただけでなく、IT部門ではなく事業部の判断で利用したいSaaSを選定、導入する流れが見られるようになりました。そのような中で、SaaSの利用が日常化し、事業部も気軽に利用するため、企業のIT部門が社内の統制を取りづらくなる、という新たな課題が生まれました。
この課題を解決するため、「SaaS for SaaS」という新たな市場も拡大しています。「SaaS for SaaS」とは、「SaaSを管理するためのSaaS」のことで、社内で利用しているSaaSを可視化したり、アカウントやコストを効率的に管理したりするためのプロダクトです。
こうしたプロダクトは、米国において既に活用が広まっていましたが、日本企業では認知度も低く、それほど有効活用されていませんでした。しかし、2021年ごろから、国内でも多くの企業が続々と事業に参入し、国内でも一気に認知度が向上したと捉えられています。
当社のIT部門においても、利用するSaaSが増えてしまい統制がとりづらい、という課題を抱えていました。当社では、スピード感をもってビジネスを進めることを重要視しており、各事業部のメンバーが、自分たちに必要なツールを自由に導入・運用できるスタイルを採用していました。IT部門では全従業員が利用する「Slack」「Zoom」「Box」などのSaaSを管理し、事業部で導入したSaaSは事業部が主体となって管理する方針でした。