富士通とNECの中期経営計画–現在地を読み解く

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 富士通とNECが4月28日、2021年度の業績を発表した。決算会見にはそれぞれのトップが出席し、中期経営計画の進展状況を説明した。

 富士通は、2022年度にテクノロジーソリューション事業で営業利益率10%、売上収益3兆5000億円を目指す中期目標を掲げていたが、今回の発表では、売上収益を3兆2000億円と3000億円の下方修正し、達成を1年先送りにする一方、特殊要因を除いた本業ベースでの営業利益は3200億円とし、営業利益率10%の計画を維持する考えを示した。

 2022年度の経営指標は、2019年6月に代表取締役社長に就いた時田隆仁氏が、就任3カ月後に示したものであり、今回がまさに最初の通信簿となる。コロナ禍や部品供給の遅延など、大きな環境変化の中でトップラインの足踏み状態が続いていただけに、売上収益の下方修正は想定の範囲といえる。それでも、営業利益率10%の達成にこだわったのは、時田氏の意地といえるだろう。

 だが、営業利益率10%の達成のハードルは高い。テクノロジーソリューションの営業利益率は2020年度が6.5%、2021年度が6.3%で、目標の10%までには大きな距離がある。2021年度実績の1939億円を3200億円にまで引き上げなくてはならない。

 富士通 取締役執行役員SEVP/CFO(最高財務責任者)の磯部武司氏は、「2022年度は利益を大きくジャンプアップさせることになるが、市場の成長に加えて、部材調達の影響のリカバリー、DX(デジタルトランスフォーメーション)の確実な伸長を見込んでいる。営業利益率10%は必ず達成できる」と自信を見せた。

 確かに、プラス材料は幾つかある。SIサービスの受注が国内外ともプラス成長を維持し、特に海外で大きな成長を見せていること、ソリューション・サービスの採算性の改善が進んでいること、部品供給の遅延や材料価格の高騰といった課題についても、対象部品が絞られてきたり製品価格への転嫁を進めたりしてきたことで、損益改善に少しずつプラス効果が生まれていること、さらにはオフショアの拡大、オフィスの効率化などの成長投資の成果も挙がっている。

 磯部氏が、「最大のポイントは売上収益の拡大をしっかりと進めることである」と発言したのも、収益体質の強化が進んでいることへの自信の表れだと言えそうだ。

 もう一つのポイントは、同じく時田氏が就任後に掲げた富士通自らの「IT企業からDX企業」への変革だ。

 ここでは、コア事業とするテクノロジーソリューションの強化に加えて、ノンコア事業のユビキタスソリューションやデバイスソリューションの再編の進捗が注目される。既にハードウェアを中心としたユビキタスソリューションでは、PC事業や携帯電話事業の切り離しを完了しており、このほどPFUの株式の80%をリコーに売却することを新たに発表(PDF)、その歩みを一歩進めた。

 時田氏は、「今回の株式売却は、富士通がDX企業に変わる方針を打ち出す中で、それがPFUの今後の歩み方に適しているのかを考えた結果だ。リコーは、デジタルサービスを中核として、エッジ領域のプロダクトやサービスがあり、PFUとの親和性が高い。PFUにとってもいい組み合わせであり、富士通にとってもエッジの領域に力を持つリコーと協業していくことで、エンドツーエンドでソリューションを提供し、顧客に新たな価値を届けられる」とコメントした。

 リコー 代表取締役 社長執行役員 CEO(最高経営責任者)の山下良則氏も、「リコーは、デジタルサービス企業への変革を目指しており、約1年前からシェアと技術力を持つPFUとの連携を模索し始めていた。PFUの子会社化によりワークフローのデジタル化、ITインフラ構築、現場デジタル化の領域を強化できる」と、同社のデジタルサービス強化に向けて重要なピースが埋まったことを強調する。

 その点では最適な着地点に至ったようだ。2021年度実績でユビキタスソリューションの売上収益は2371億円。ここから1300億円規模のPFUの売上収益がなくなれば、ユビキタスソリューションの再編はほぼ完了したといっていいだろう。

 さらに、磯部氏はもう一つのノンコア事業であるデバイスソリューションの考え方にも言及した。

 「ノンコア事業は独立化を進めている。この方針に変更はない」と前置きし、「半導体需給のひっ迫や円安の影響もあり、現時点でデバイスビジネスは好調だが、富士通グループとしてどんなシナジーがあるのかを冷静に考えなくてはいけない。今は儲かっているから手放さないという短期的思考で動いているわけではなく、時間がかかっているが、独立させる方針は変えない」と、デバイス事業の切り離しを改めて強調した。好調なデバイス市場の環境が事業売却に追い風となる可能性もある。

 決算会見の中で時田氏は、「DX企業への変革は5合目に達した。これまでの道のりは曲がりくねっていたが、自動車で上がれるところまでは来た。今後は自分の足で登らなくてはならないところに入っていく」と例えたが、それは事業再編という大なたを振るう改革が終わり、今後はテクノロジーソリューションの体質改善に挑むことになる姿勢を示したものといえるかもしれない。

 なお、富士通が発表した2021年度(2022年3月期)の連結業績は、売上収益が前年比0.1%減の3兆5868億円、営業利益が17.7%減の2192億円、税引き前利益が17.8%減の2399億円、当期純利益が9.9%減の1826億円だった。特殊要因を除く本業の営業利益は11.5%増の2756億円。また2022年度の業績見通しは、売上収益が前年比3.7%増の3兆7200億円、営業利益は82.5%増の4000億円、当期純利益は同53.3%増の2800億円。本業ベースの営業利益は3900億円を計画している。

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