「モードシフト」–新たな中期経営計画を始動した日立の狙い
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日立製作所が4月28日、「2024中期経営計画」を発表した。「Lumada」を日立グループの成長エンジンに位置付けることをより鮮明にするものになった。執行役社長兼CEO(最高経営責任者)の小島啓二氏は、「『2024中期経営計画』の成長戦略の中心はLumada。計画期間内にLumadaの売り上げをほぼ倍増させる。利益は日立全体の3分の1を占める」と語った。
Lumada事業の売上収益は、年平均成長率24%と高い成長を見込み、2024年度には2兆7000億円を計画する。Adjusted EBITAは4000億円、Adjusted EBITA 率は16%を目指す。2021年度実績でAdjusted EBITA率は12%であり、そこから4ポイント引き上げる。
なおAdjusted EBITAとは、「調整後営業利益-買収に伴う無形資産などの償却費+持分法損益」で計算されるもので、投資判断の規律を徹底することが狙いだという。これまでの調整後営業利益から変更し、ROIC(投下資本利益率)とともに今後の主要KPI(重要業績指標)に据える。
小島氏は、「Lumadaによって日立が目指す社会イノベーション事業の高収益化を目指す」と力強く宣言した。
2024中期経営計画の策定とともに、Lumadaの業績開示の内容を変更した。従来は、「Lumadaコア事業」と「Lumada関連事業」に2分していたが、これをGlobal Logicなどを中核とする「デジタルエンジニアリング」、デジタルツインの活用などによる「システムインテグレーション」、遠隔化や自動化などを推進する「コネクテッドプロダクト」、予兆診断や保守、ハイブリッドクラウドを推進する「マネージドサービス」の4つに分けて開示する。
2024年度の計画は、デジタルエンジニアリングの売上収益で3000億円、Adjusted EBITA率で21%、システムインテグレーションの売上収益で6000億円、Adjusted EBITA率で14%、コネクテッドプロダクトの売上収益で9000億円、Adjusted EBITA率で15%、マネージドサービスの売上収益で9000億円、Adjusted EBITA率で16%を目標に掲げた。実は、この分類こそが日立のLumadaの特色を強調するものになる。
小島氏は、「Lumadaは、顧客との価値協創のサイクルをデータ駆動で回し、サイクル全体で収益を拡大する成長モデルになる。お客さまの課題の理解に始まり、解決方法を設計して実装し、運用、保守するサイクルを持ち、これによってお客さまの価値を高めることができる。どの領域からでもスタートでき、どの領域からも収益を上げることができる。そこが他社にはない日立のユニークなところであり、強みである」とする。
デジタルエンジニアリングでは、AccentureやCognizant、Tata Consultancy Servicesがベンチマークであり、コネクテッドプロダクトでは、SchneiderやEmersonを競合と捉えている。また、全体で近い企業としてSiemensを挙げながらも、「4つの領域でビジネスを作れる会社は他にはない」(小島氏)とする。