ハイブリッドワークのトレンド–変わる従業員の意識や各種機器への投資

今回は「ハイブリッドワークのトレンド–変わる従業員の意識や各種機器への投資」についてご紹介します。

関連ワード (働き方の新たなルール、特集・解説等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。

本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。


 筆者は35年にわたるテクノロジーメディアでのキャリアにおいて、多様な働き方を経験してきた。1980年代後半から始まって、2000年を過ぎてかなりたってからも、仕事は100%ロンドンのオフィスベースだった。ポータブルコンピューターは存在していたが、例外的な名機を除けば、遠くまで持ち運びたいものではなく、コンセントのない場所で長時間使用することはできなかった。1990年代に電子メールとウェブが普及したときでも、ダイヤルアップモデム接続でのインターネットアクセスは低速で安定しないことが多かった。

 1990年代半ばにロンドンから北に約64km離れた場所に引っ越して以来、筆者は約20年にわたって、仕事のある日は毎日、ロンドンのオフィスに電車で通勤した。その後、信頼性の高いブロードバンドインターネット(最初は電話回線を使用するADSL、次はFTTH)が利用可能になり、ようやく田舎の村での在宅勤務が実現可能になった。封筒の裏で計算してみたところ、その20年間で仕事の行き帰りに費やした合計時間は、約1.3年だった。もうその時間を取り戻すことはできないが、今後は精神面、肉体面、環境面、経済面など、あらゆる観点での健全性に関して、もっと良い方法があるはずだ。

 技術と労働文化の諸条件が整うとすぐに、筆者は現在「ハイブリッドワーク」と呼ばれている働き方を喜んで取り入れた。ロンドンのオフィスの内部は2020年3月から見ていないが、近いうちにまた訪れる予定だ。チームメンバーと対面で再会することが主な目的であり、生産性に関する差し迫った理由があるわけではない。

 ハイブリッドワークは、パンデミックによって多くの人が強いられたリモートワークに取って代わる可能性が高い。自宅とオフィスの適切なバランスは、役割、企業が事業を営むセクター、個人の好みによって決まる。企業が従業員の求める柔軟性を与えない場合、従業員が会社を辞めて、「Great Resignation」(大量自主退職)や「Great Reshuffle」(大量転職)の動きに加わることが増えている。

 Microsoftが先頃発表した2022年の「Work Trend Index」(WTI)レポート「Great Expectations: Making Hybrid Work Work」には、ハイブリッドワークに関する興味深いデータと分析が掲載されており、その多くは先述した筆者の個人的な経験と一致している。このWTIレポートは、31カ国の3万1102人を対象に米国時間2022年1月7日から2月16日に実施された調査に基づいており、さらに「『Microsoft 365』の何兆件もの生産性に関するシグナルや、LinkedInの求人市場トレンド」の分析データが使用されている。

 Microsoftのレポートで最初に押さえるべき重要なポイントは、従業員が新しい「価値の方程式」を持っていることだ。53%は、パンデミック前に比べて仕事よりも健康と幸福を優先するようになったと答えている。真逆の回答は少数派だが、その割合は世代によって明確な差があり、Z世代が11%、ミレニアル世代が7%、X世代が5%、ベビーブーマー世代が4%となっている。給与以外で最も重要視する仕事の側面のトップ5は、ポジティブな企業文化(46%)、メンタルヘルス/福利厚生(42%)、目的/意義の感覚(40%)、柔軟な勤務時間(38%)、標準的な2週間以上の年次有給休暇(36%)となった。

 こうした職場の変化はまだ続いている。Microsoftの調査では、ハイブリッドワーカーの約半数(51%)が1年以内にリモートワークへの移行を検討しているのに対し、さらに多くのリモートワーカー(57%)がハイブリッドワークへの切り替えを検討している。

 Microsoftのレポートの2つ目の重要なポイントは、マネージャーが経営陣と従業員の期待の間で板挟みになっていると感じていることだ。マネージャーの半数以上(54%)は経営陣の行動が従業員の期待とずれていると感じており、約4分の3(74%)はチームのために改革を実施する影響力やリソースがないと答えている。

 ここには明らかに緊張関係が存在し、Microsoftの調査はその点を掘り下げている。フルタイムのオフィス勤務再開を計画している経営陣の割合が50%(一部の業界ではさらに高く、製造では55%、小売では54%、消費財では53%)であるのに対し、回答者の52%は1年以内にリモートワークかハイブリッドワークへの移行を検討する可能性が「少しはある、または非常に高い」と答えた。

 この緊張関係をどのように解消するかは、業界セクター、パンデミック下で変化した世界に対する経営陣の認識の度合い、マネージャーに与えられた権限の大きさによって異なるだろう。

 レポートの3つ目の重要なポイントは、経営陣が通勤に見合う価値のあるオフィスを用意する必要があるということだ。ハイブリッドワーカーの3分の1以上(38%)はオフィスに通勤する時間とその理由を知ることが最大の課題だと回答した。しかし、これをチームのルールとして明確に定めている企業は、わずか28%だ。

 こうした不確実性の大部分は、会議をどのように計画して実施するのかという点が中心になっている。リモートワーカーとオフィスワーカーの参加者がいるハイブリッド会議を処理するビデオ会議プラットフォームの能力は常に向上しているが、まだ改善の余地はある。Microsoftの調査では、リモートワーカーの半数弱(43%)が会議への参加意識を持てないと答えており、参加者全員が参加意識を持てるようにするための新しいハイブリッド会議の作法を定めている企業は、27%にとどまった。

 筆者に関して、「通勤の正当性」(あらゆる種類の通勤を含む)はまだ証明されていない。日常業務のすべてをホームオフィスで快適にこなして、高い生産性を出せるし、リモート会議はうまくいっている。オフィスが必要になるのは、特別な行事や定期的なチームビルディングの演習があるときだけだろう(テクノロジーメディアのレビュー編集者に役立つものではあるが)。また、交替制とはいえ、適切なビデオ会議キットやその他のさまざまなキットを自由に使用できる。

 このような調査結果を受けて、オフィスを再設計し、「出勤する」従業員用のデスクやキュービクルが何列も並ぶ職場から、柔軟なハイブリッドワーカーに対応できる魅力的で柔軟なスペースへと改装する動きが広がる可能性がある。

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