新薬発見もクラウドやAIで寄与–マイクロソフトがヘルスケア事例を説明

今回は「新薬発見もクラウドやAIで寄与–マイクロソフトがヘルスケア事例を説明」についてご紹介します。

関連ワード (クラウド等) についても参考にしながら、ぜひ本記事について議論していってくださいね。

本記事は、ZDNet Japan様で掲載されている内容を参考にしておりますので、より詳しく内容を知りたい方は、ページ下の元記事リンクより参照ください。


 日本マイクロソフトは10月21日、ヘルスケア分野への取り組みに関する記者説明会を開催した。説明を行った米MicrosoftのElena Bonfiglioli氏は、「テクノロジーが新薬を発見する段階まで来ており、(医療産業にも)多くのテクノロジーとコンピューティング能力が必要になっている」と述べた。同社は、2021年4月にヘルスケア関連ソリューションのNuanceの買収を公表している。

 医療は常に進化し、2000年までは論文に代表される科学的根拠に基づいて治療を行っていたが、2010年代は電子カルテの導入やビッグデータの利用が進み、2020年代に入ると非構造化データと画像による可視化、ウェアラブルデバイスによる身体情報の数値化が行われているようになったとする。全てがデータであり、Bonfiglioli氏は、「データがプライバシーとセキュリティ、クラウドで管理される時、創薬と精密な発見と正確な医療の提供でラストマイルまで本当に変えられる。われわれはこれを『インフィニティループ』と呼び、発見から配達まで精密な命に健康を吹き込む」と説明した。

 この実現には、データの可用性を担保しつつ、アナログから解放し、安全にデータを利用できるクラウドプラットフォームと、製薬企業がテクノロジーとコラボレーションできる能力の3つが必要だと述べた。

 製薬の現場に対しても、「新しいデジタルツール、プラットフォーム、私たちを助けるAI(人工知能)モデル、スキルセットが必要になることを彼らが教えてくれた。データサイエンティストも重要なステップだが、人材不足で確保は困難だ。生命科学に携わる組織は研究方法やデータの変換方法を、AIに委ねられるテクノロジーとパートナーを探している」とBonfiglioli氏は現状を説明する。

 Microsoftは、2021年2月に製薬企業UCBと協業して、高次元データセットや非構造データの分析にクラウドソリューションを活用し、新型コロナウイルスの抗ウイルス剤開発に努めている。また、医療組織のProvidenceやMercy、ジョンズ・ホプキンズ大学らと協力して、患者の主要ながんの属性を迅速に特定するためのパッケージを開発した。

 「Azure Applied AI Services」を医療向けにした「Azure Decision Support Applied AI Service」でがんの情報の登録や臨床試験の自動トリアージを実現するほか、スウェーデンのスタートアップ企業とがん患者が対話式で適切な試験を見つけるスマートフォンアプリを開発した。「シンプルに見えるが、背後には深い会話型AIの能力と卓越性がある」(Bonfiglioli氏)

 Bonfiglioli氏が提示した「Microsoft Cloud for Healthcare」の機能群(図2参照)では、仮想医療が注目される。同氏は、「人々が自宅で適切な治療を受けるために使用できる仮想訪問は分散型もしくは臨床医側が試験に参加し、シームレスに患者を評価できる」と、パートナー企業を通した医療サービスの可能性を提示した。

 日本でも医療機関との取り組みが増加しており、参天製薬は自社のセキュリティを刷新するために「Microsoft 365 E5 Security」を採用。アステラス製薬は研究員の実験・研究業務や社内外の規制・システムといった外部環境に即した変化に対して、自由度の高い運用を実現するため「Microsoft Power Automate」を導入した。直近ではH.U.グループホールディングスがゲノム解析基盤として「Microsoft Azure」を選択している。

 Bonfiglioli氏は、「Microsoft Cloud for Healthcareはグローバル。特にアジアや日本地域に限定されるものではない」と強調した。

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